結論が得られるのか、なにを捨て、なにを残すかによって、どのような成果が得られるのかを考えるというプラス思考に転じることができるのである。
イ. 複数の苦情処理機関の相互連携
市民は行政に関して、何がどこで管轄されているのかについて詳しく理解している訳ではない。したがって管轄外の機関に苦情の相談を行う場合が多くみられる。そのため現行体制のままでは、実際の相談に対応する際大きなネックとなりうる可能性があるといえよう。
今回の2回の調査で注目すべきことは、いわば行政の苦情処理ネットワークの点から面への拡大が実際に行われてきているということである。商業やサービス業を見ても、待っていればお客がくるという時代は終わったのであり、来た客への対応をよくすることが必要であると、同時にいわば出前型の苦情処理が必要になってきたということである。
都道府県や指定都市においては、県庁所在地や市役所一箇所で相談をしたのでは不十分であり、県内の主要都市や区役所でも定期的に相談を開催するという傾向が顕著である。また地方都市や町村では、近隣市町村の行政相談委員が提携して巡回相談や合同相談を行うという事例が多くみられる。現象としては必ずしも共通の方式を求めている訳ではないが、結果として規模が大きすぎる地域は幾つかに区分し、逆に小さすぎる場合は幾分大きくして相談をすることによって、効率よき相談の単位が経験的に求められてきているのだといえよう。
更にもう一点は、同時に国・都道府県・市町村の行政に関わる相談を一箇所で行うことによって、一回で問題を解決でき、たらいまわしにされないですむということも大きな効果であるといえよう。
苦情を持つ市民に対して、行政側の事情によって、貴重な時間を無駄にするようなことは避けるべきだといえよう。その点からも、このような方式は推奨されるといえよう。
ウ. 苦情処理機関の専門化と総合化
次に今後の課題として、重要なことは苦情処理機関の専門化と総合化である。前述したような一定の規模が必要な理由としては、ある程度の相談量を予測することによって、一方ではかなり専門的な相談にも対応することができるようになるということ、また対応する必要があるということが指摘される。また他方からは、今日の多様な社会においては相談の内容も当然多様化する。したがって多様化した相談に対応するためには、同じ所で各種の相談を行い、そこに行けば確実に問題の解決に効果があると市民に知らせることも必要である。
ただ問題は、そのような苦情処理機関や相談室を全国の地方公共団体が全部作る必要が果たしてあるのか、またそのような問題に対応する人材が豊富に存在するのかどうか、ま