法はメディアトュールにふたつの主要な介入領域を設けており、その一つは政府部局の行政悪であり、もう一つは明らかに不正と認められる場合である。メディアトュール事務所の日常業務は、自然とメディアトュールに一定の納税者の財政的窮状に関心を持たざるを得なくなる。
財務行政の行政悪は、主に条文や誤った適用や、税規則の実施に関して不正確な状況評価から生じるものである。例外的には、税部局、関税、歳入部局の処理ミスから生じるものでもある。
行政機関による行政悪がなく、納税者の環境や状況が正当化されるような場合は、メディアトュールは衡平の原則を適用し、負債さえも免除しうる。
メディアトュール法を修正した1976年12月24日法は、衡平を基盤とした介入権が明示されている。衡平概念に基づいた介入は、法の精神に則っている場合のみ可能であり、また、個人にもたらされている不利益とコミュニティの構成員によって得られている利益の間に甚だしい不均衡がある場合や、コミュニティがそのコストを負担する許容量や他人の権利の観点から甚だしい不均衡がある場合に、介入が可能である。
メディアトュールが介入する方法は、行政機関が論争を解決するために設定されている方法よりはフレキシブルであり、補完的である。
?B 現実の難問
しかしながら税の分野では、かなりの難問にぶつかることになり、それらはしばしば税の手続や規定から生じるものである。たとえば、行政委員会が論争に対してすでに否定的で詳細な理由を付した回答を寄せている場合や、苦情処理期間がすでに超過している場合、政権の財政基盤が弱い状況にある場合などがこの事例に該当し、つまり、他の可能性の余地がなく、苦情申立書に条文を記載するしかないのである。この場合、メディアトュールにできることはほとんどない。
財政的仲裁(fiscal mediation)は、第3者によってよく邪魔されることが多い。たとえば、苦情申立人が著名人の責任を引き合いに出した場合の相続税(death duty)や、納税の共同責任の場合などである。第3者の権利を保護する必要が生じた場合も、邪魔されることとなる。たとえば、これは免責決定によって、負債全額に対して共同責任があり、または、いくつかの責任を有する第3者の義務になることから生じる。地籍(cadastral)論争の調停もまた難しく、他者を巻き込むという民間論争の本質がゆえにしばしば分けることができないものである。
税制の領域におけるメディアトュールの影響力は、政治制度、苦情申立人や財務行政から独立していることや、プラグマティズムと結びついた彼の行動から派生するものである。税制の領域から得られた結果は、納得させるものがある。1991年から1995年までに介入した84%が成功に終わっているし、政府も1年に5〜6にのぼる改革案を受入れている。