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きる。もし立ち退かない場合は、法や秩序の理念に基づいてメディアトュールは、警察の協力拒否によって生じた損害の救済を家主の受入れられる範囲で模索しなければならない。

救済を求める人々を助ける役割のメディアトュールは、そのような援助を提供しようとするとしばしば現実の難しい状況に置かれていることを自覚せざるを得ない。特に立退きのような場合には、居住者の利害と家主の利害は法の解釈とは相いれないものとなる。

?C 制度の複雑さが生む不公平

メディアトュールによれば、フランスの住宅補助(housing benefit)は、社会政策においても、該当する6百万人の世帯にとっても主要な政策となっているが、この制度は複雑さからだけではなく、結果として不公平な効果をもたらすことから非難されるとされる。

 

イ. 税務の調停とメディアトュール

 

メディアトュールという制度は、必ずしも法的手続で解決され得ない行政悪となっている行政サービスによって引き起こされる問題を質的に統制する要請にも対応している。メディアトュールは、また行政的な行政悪がなかった場合でも衡平原理に基づく平和的な解決策を提示できるとされる。この衡平原理とは、「衡平とは、正義をこの上なく行うことであり、ときとして法律が定めていることに優先する。」また、「紛争の解決につき、実定法の欠缺を埋めるため、また、実定法を適用することがあまりに厳格な場合その適用を和らげるために、正義の原理を適用すること。」(フランス法律用語辞典、三省堂)とされる。

?@ メディアトュールの基本機能と介入判断

フランス共和国のメディアトュールは、「個々の苦情を処理すること」と「改革案の提示」という二つの主要な役割に対して法的権限を持つ。

メディアトュールは、税務分野にも介入するのが適当かどうかを評価する広範な権限を持つ。その場合は、納税者自身によって十分な事前手段が採られていなければならず、また介入の余地もなければならない。

メディアトュールはまた、正確に言えば仲裁から勧告、改革や命令を行ったりと広範にわたる介入権を有する。改革提案権は、例えそれらが法律そのものに関係しようと、税体系や行政指導に関係しようとも、メディアトュールが税制に適用している規則や規制を変革できることを意味している。

?A 介入の形態

財務調停の分野は他の問題とは違い、広範であり、したがって税の問題は広範で多岐にわたる。税担当部局は、個人、協会、企業などから苦情を提起される。

 

 

 

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