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序の問題には介入できないから、メディアトュールに送られてくる苦情は行政的な行政悪(malad-ministration)を処理することとなる。

しかし、現実には景気の低迷が、住宅問題を増加させる大きな理由となっており、メディアトュールに提出された苦情の数や種類は、絶えることのない賃貸者論議、公的支援制度の複雑さと不明瞭さからくる苦情の多さ、不法な建築に関連する特殊な問題といった事例がほとんどとなっている。

?@ メディアトュールに求められる情報提供の役割

統計的に1992から1996年の間に処理された苦情を見ると、問題は不十分で不正確な情報による単純な誤解から生じているものがほとんどであり、審査では住宅機関は間違いは犯しておらず、家主と賃貸者の権利と義務に関するすべての必要な説明と情報の不足が原因となっている。問題は家主と賃貸者の民・民問題であり、メディアトュールの原則から言えば民・民問題には不介入であるが、住宅政策として行政機関が絡んでいる場合には介入せざるを得ず、結果としてきちんとした情報を提供すれば解決してしまうことも多い。

つまり、メディアトュールのように一般国民からの苦情を処理することは、現実問題として情報提供不足という行政スタイルの問題に帰着することになる。

?A 法改正による問題の生起と制度の混乱

メディアトュールは、1996年3月4日第96-162法によって修正された住宅建設法(Code of Construction and Housing)第441-3条から第441-15条により行われている賃貸施設のあり方から生じるいくつかの問題の解決を求められている。

また、フランスの住宅政策には3つの形態の補助があり、それは家族用家賃補助、低所得者家賃補助、住宅補助であり、それに呼応した行政的混乱が制度の理解を難しくしている。受領した苦情を分析すると、この制度に固有の複雑さと制度の不整合が原因となっている。

?B 困窮者への介入

職務の不安定さと経済的な困難さのもとでは、賃貸者の負債額が返せないほどの高額に達することもしばしばである。このような負債があることは、まさに重いハンディキャップである。メディアトュールは、賃貸者が1990年3月31日法によって施行されている連帯基金(solldality fund)によって財源的な援助を受けられるように介入している。

この基金は、誰にでも住宅に住む権利を保障する目的で設立されたものであり、公共セクターの住宅機関は負債の軽減に同意しなければならないことになっている。

賃貸者の立退きに際して、メディアトュールはあるときは賃貸者のために働き、またある時は家主のために働くことになる。居住者の立退きは裁判所の宣告によらねばならず、例え家主の意向に沿った決定がなされたとしても、しばしば居住者が家屋を立ち退かないことがある。このような場合、家主はかれらを警察によって退去させることがで

 

 

 

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