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それでも、メディアトュールを導入する背景としては、以下のような理由によるところが大きく、またこの当時警察の権力の行使や外国人ジャーナリストの本国への強制送還等、フランス政府による自由を侵害する事件が多く起こったことも起因しているとされる。

?@ 頻繁に起こる行政当局による自由の侵害から国民を擁護するシステムの必要性

?A 従来の行政裁判所制度では取り扱えなかった行政活動の当不当の領域にかかわり、行政機関と国民の間に人間的な温かみのある関係を確立するための機関として期待された。

 

イ. メディアトュール法の構造

 

(ア) メディアトュール法の条文構成

フランス共和国のメディアトュールを創設した1978年1月8日の第73-6号法は、1976年12月24日の第76-1211号法と1989年1月13日の第89-18法によって補完され、1992年2月6日の第92-125号法によって修正され、現在の法律となっている。以下の表が、15条からなるメディアトュール法の条文構成である。

 

メディアトュール法の条文構成

 

第1条 (メディアトュールの基本原則)

第2条 (メディアトュールの任期と解任事由)

第3条 (メディアトュールの不逮捕特権)

第4条 (州レベルの政治的兼職の特例)

第5条 (コミューンレベルの政治的兼職の特例)

第6条 (メディアトュールヘの不服申立事案の送付権限)

第7条 (不服中立の事前処理手続)

第8条 (権限外の不服申立事案)

第9条 (勧告権及び改善措置)

第10条 (懲戒手続及び刑事訴追)

第11条 (事前勧告権と履行命令措置)

第12条 (関係機関の任務協力)

第13条 (文書提出権と例外事項)

第14条 (活動報告)

第14条の2 (民間活動の禁止と処罰)

第15条 (活動経費とスタッフ)

 

 

 

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