第11章 財務分析
11.1 は じ め に
本節は、バンガロールのElevated Light Rail Transit System(ELRTS)計画のうち、フェーズ1プロジェクト25.9km部分のみについて簡単な財務分析を行ったものである。
財務分析の基本的な前提条件は以下のとおりである。
(1)プロジェクトの建設期間は、2000年から2002年までの3年間とする。
(2)プロジェクトの継続期間は、プロジェクトの完成後30年から40年とする。40年の長期の期間を設定したのは、長期の公的資金の導入を考慮したためである。
(3)収入は、料金収入のみとする。また、ELRTSの乗客数は、 ELRTSの全路線が完成後もフェーズ1プロジェクト単独で運行するケースを想定する。
(4)料金は、現在のバス料金1人km当り1.75ルピーの2.2倍とし、プロジェクトの継続期間中は、値上がり等を一切考慮しない固定料金とした。
11.2 収入
プロジェクトの収入は、ELRTSの料金収入だけとし、広告収入や関連不動産収入等は計上していない。
11.2.1 ELRTSの乗客数の予測
2011年のELRTSフェーズ1プロジェクトの乗客数の予測は、UBグループの推計値を採用した。ELRTSフェーズ1プロジェクトの乗客数は、2011年に全路線が開通することを前提に、203万人km/日と予測されている。しかし、実際は2003年の開業時から2011年までの間は、フェーズ1プロジェクトの路線のみが単独で運行するわけであり、2011年以前はUBグループが予測した乗客数よりかなり少ない乗客数であると推測される。したがって、2002年の開業時においては、乗客数は、2011年の半分以下であると想定される。
各年の乗客数の予測は、表11.2-1に示すように、2011年の予測値を基準に2002年は50%、2003年から2011年までは毎年年率8%で増加して行くものと想定した。また、2011年以降は、毎年年率4.1%で増加するものとし、2021年には2011年のちょうど1.5倍になるように設定した。2021年以降については、乗客数の増加はなく2021年の乗客数が一定値で