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4.4 結論とコメント

 

1.本調査は、伝統的な交通予測の調査手法にしたがっており、予測手法には特に題はない。

 

2.予測モデルの様々な条件設定にについては、大部分が1994年の交通調査データを基にしている。現在これらのデータは、バンガロール都市圏の急速な成長と交通状況の変化を考慮するとやや古くなっており、小規模な補完的交通調査を実施しデータを更新することが望ましい。特に、乗客の主力となる郊外の新住民の交通行動については、改めて確認しておく必要があろう。しかし、バンガロール都市圏の土地利用パターンや道路網など都市の基本的構造には大きな変化はないので、交通モデルに大きな条件の変更を付け加える必要性はみられない。

 

3.交通機関分担モデルについては、近年道路交通状況がますます厳しくなっているため、若干の条件の更新が必要と思われる。

 

4.調査の結果では、ELRTSの乗客の85%がバス利用者からの転換となっており、2輪車利用者からの転換はごく少ない。この点については、ELRTSの料金と利用の関係をもう一度検証しておく必要があろう。ELRTSの利用者は、単に料金と時間節約だけでELRTSを選択している訳ではなく、安全性、快適性、運行頻度や到達時間の信頼性などELRTSに対する様々な評価を総合して選択しているはずである。仮に、利用者が低所得者層であっても長い待ち時間の後混雑したバスで混雑した道路を長時間走行することにがまんできるとはおもわない。一方、中高所得者層、特に2輪車利用者にとっては、ELRTSの持つ安全性や快適性評価すれば、少々高い料金であっても利用することをためらわないであろう。したがって、交通機関分担モデルでは、道路交通についてさらに高いペナルティーを与える必要があろう。

 

5.ELRTSの全線路線網の配置については、現在のバンガロールの人口分布等を考慮すれば妥当なものと思われる。ただし、外郭の環状線部分には、将来の都市の広がりを想定して、放射方向への路線延長を考慮した接続駅を設けておくべきであろう。

 

6.フェーズ1プロジェクトの路線選定については、これからの需要の拡大が予想される市の南部および西部をカバーしており、需要の伸びに合致している。(表4.4-1参照)ただし、フェーズ1プロジェクトの路線選定は、必ずしも交通需要だけで選択されている訳ではなく、ELRTS施設の建設に当っての道路状況や駅施設、デポの配置あるいは、将来の周辺開発の状況なども考慮されている。したがって、フェーズ1の路線選定を正当かするためには、沿線の都市開発計画を同時にコンソーシアムとBMRTが共同で示すべきであろう。

 

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7.2011年の需要予測がELRTS全路線の開通を前提としているため、フェーズ1プロジェクトが単独で運行する2002年から2011年までの乗客数は、需要予測結果のさらに半分から1/3に減少することが想定される。この間の乗客数の確保のため、各駅におけるバス路線との接続を密にする必要があろう。

 

 

 

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