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6 ノルウェーにおける行政ネットワーク・プロジェクトの概要

 

1997年9月8日に、ノルウェー計画策定調整省(PSD)とノルウェー地方自治体協会(KS)によって行政ネットワーク・プロジェクト「Forvaltningsnettprosjektet」が公表された。この行政ネットワーク・プロジェクトは、情報技術の分野で自治体と中央政府の間で現在行われている協力(KOSTIT)の一環として推進されるものであり、このプロジェクトの所轄機関は、政府に代わってノルウェー計画策定調整省(PSD)が、 また自治体に代わってノルウェー地方自治体協会(KS)が担うものである。

この行政ネットワーク構築の目的は、行政内、その他外部のユーザに対し簡単で安全かつ費用対効果の高い電子情報の交換・アクセスを実現することであり、さらに情報資源の共有化の向上を図るものであり、それを基礎にして形成される。

ただし、このプロジェクトは長期的なビジョンに立脚しており、現状では、プロジェクトの第1段階までをまとめており、第1段階の実施期間は1998年10月1日までである。そして、このプロジェクトを継続して推進するかどうかは、その後に検討して決定されることになっている。

プロジェクト第1段階では、各種のネットワーク手段の確立と、必要な基本的サービスの構築を通じたデータ交換及び情報通信基盤の整備が主たる課題となる。さらに、情報提供サービスも行われる。このプロジェクトでは、市場においてデファクトスタンダードとして流通しているネットワーク関連技術を最大限利用する方針であり、電子的手段によらない行政内ネットワークは新たに設置しないことになっている。

(1)プロジェクトの背景

中央政府及び自治体間のより簡単で費用対効果の高い情報交換のための行政ネットワーク構築についてのニーズや提案は、「Bit by Bit」と呼ばれる政府の委員会(the State Secretaries committee)が作成した報告書や、ノルウェー地方自治体協会(KS)が作成した「市町村情報テクノロジー政策基本方針(Building blocks for municipal IT-policy)」で強調されていた。また、1995年、自治体及び中央政府間の下部組織が協力したワーキンググループによる研究として「KOSTIT-report」が提出されたが、この報告書では「行政ネットワーク」と題する文書の中で、共同の通信技術を開発する必要性が強調された。

そして、各界から選ばれた委員によって構成された委員会において、情報技術分野で自治体と中央政府が協力して取り組む優先的な課題として、1996年、「行政ネットワーク・プロジェクト」が提案された。

こうした動きの要因には様々なものがある。その一つに自治体と中央政府との間でおよそ140種類に及ぶ統計調査が行われており、自治体から中央政府に対してその報告がなされてきているが、この報告は当然にして紙に記録して行われており、データの質の点から問題が顕在化していた。 しかも、自治体から中央政府に報告してから中央政府がそれを取りまとめるまでに多くの時間がかかっていた。この統計業務全般をノルウェー地方自治体協会(KS)において金額換算したところ30,000万クローネ(およそ540,000万円)に相当し、作業量として720人/日かかっていたと分析した。

こうした中で、自治体においては、行政手続きに関する簡素化や行政機関間でのデー

 

 

 

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