日本財団 図書館


(2)ノルウェー地方自治体協会(KS)と情報技術の関係

ノルウェー地方自治体協会(KS)では、情報技術の有効活用に関して、複数のプロジェクトを遂行している。ノルウェー地方自治体協会(KS)における情報技術部門の担当者は3人であるが、ノルウェー計画策定調整省(PSD:Ministry of National PIanning and Coordination)やノルウェー研究審議会(Research Council)とも密接に連携して運営している。そのため、プロジェクトごとにノルウェー研究審議会の職員など、様々な人がプロジェクトリーダーとなることもある。ノルウェー計画策定調整省(PSD)の設立は1997年1月1日で、同省は政府と各省の長期計画の策定及び調整を担当しており、同省はまた政府行政の改革及び情報技術分野での政府の政策調整を担当している。また、ノルウェー研究審議会は国家の戦略的な研究の全体的責任を負い、公共部門の研究資金供給のほぼ1/3を管理している。また、その他の重要な目的には、社会における一般的な知識水準の向上、産業及び公共部門におけるイノベーションの促進などがある。

ノルウェーの自治体の情報技術の活用に関しては、ノルウェー地方自治体協会(KS)が独自に単独で自治体の情報技術の有効活用を推進することはなく、ノルウェー計画策定調整省(PSD)や研究審議会と連携することで、国をあげて情報化の推進に取り組んでいる。

 

4 ノルウェー地方自治体協会(KS)における情報技術活用に関するプロジェクト

 

(1)情報技術開発プログラムの背景

ノルウェー地方自治体協会(KS)における自治体の情報技術開発プログラムは、ノルウェー地方自治体協会(KS)の研究開発のための5つの対象分野のひとつである。このプログラムが作成された背景には、自治体と政府機関の持つリソースの効果を高めるために情報通信技術をもつと有効に活用する必要があると考えたためである。現状では、情報技術の活用によって得られる効率・改善の効果は、本来なら得る可能性のある効果の25%しか引き出していないと認識している。

情報通信技術の開発は政治的な問題にもなってきていて、EU(欧州連合)加盟諸国及び他の工業国では行政の効率化の手段として情報技術の開発を重視していることもあり、ノルウェーの内閣としてもこの点に力を入れている。

情報技術開発プログラムは、自治体に対して大きな価値があると思われる大小のプロジェクトからなり、これらのプロジェクトの戦略は様々であるが、研究開発のためのプロジェクトにすることに重点を置いている。情報技術開発プログラムの予算は1,200万〜1,500万クローネ(およそ21,600万円〜27,000万円)である。

自治体は、情報通信技術を活用するに当たって単独で行動するよりも、政府の組織や関係機関などと協力する方がより大きな成果が得られると判断しており、それがこのプログラム戦略を推進する原動力になっている。そうした国の組織や関係機関との相互調整と協力を一層促進することで、行政活動をもつと能率的に展開するための目安が得られ、同時にサービス提供事業者から供給される製品の品質も向上するという利点があると考えている。さらに、開発される製品とサービスが外国に輸出することができるかも知れないとも考えている。

情報技術の活用に当たっての基本的なスタンスとしては、社会は新しいテクノロ

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION