日本財団 図書館


第6節 浜松市:行政機関間におけるネットワーク活用の現状と今後の取り組み

―行政情報ネットワークの構築と広域行政サービスへの適用―

浜松市企画部主幹

 

は じ め に

 

近年の情報通信ネットワーク技術の著しい進展を背景として、高度情報化社会への移行は急速に進んでいる。特に、携帯電話やPHSといった移動端末の普及や、電子メール、EC(電子商取引)に代表されるインターネットの隆盛には目を見張るものがあり、まさに高度情報化社会の到来を実感させる。

しかしながら、社会システム全体を捉えた場合、すべての分野で押し並べて順調に進んでいるわけではない。特に、行政機関においては、取り扱う情報の機密性や正確性が重要視されるため、情報化の一番のメリットである迅速性がある程度犠牲にされてきた点は否めない。今後、行政事務が社会システムのスリム化と迅速化に適確に対応していくためには、情報通信ネットワークの活用が大きな課題となる。

本稿では、現在、浜松市が行政窓口サービスの高度化を目的として取り組んでいる市内の出先機関間のネットワーク化を実現した総合窓口システム、及びその考え方を広域行政圏にまで拡大した広域行政サービスシステムの二つを例にとり、行政情報ネットワークの活用について報告する。

 

1 総合窓口システムの稼働

 

(1)概 要

平成5年1月4日、浜松市市民総合窓口センターが業務を開始した。この業務の中核を担っているのが総合窓口システムである。このシステムは、浜松市がOA化施策として進めてきた住民情報システムを横断的に再構築し、住民の利便向上を最大の目的として、情報通信ネットワークを活用した初めての大規模な情報化施策である。

具体的には、本庁内の各フロアに分散している住民記録、年金、福祉、保健、教育等の143種類の窓口業務を統合し、 1か所(市民総合窓口センター)で届出受付や証明書等が発行できるようにするとともに、市内の各地域に設置している27か所の市民サービスセンターとの間を情報通信ネットワークで結び、それぞれのサービスセンターで直接届出書類の受付や、証明書類の発行を可能にしたシステムである。

このことにより、市役所(本庁)を訪れた市民は、 1か所の窓口でほとんどの手続きを済ますことができるようになり、また、各サービスセンターでは、取扱い業務が従来の68業務から94業務に拡大されたばかりでなく、今までは一旦受け付けた後、本庁に送って後日処理となっていた手続き処理が、その場で完了する(ようになったため、本庁との連絡事務が省け、待ち時間が大幅に短縮されるなど、文字どおり「市民を歩かせない。待たせない」ワン・ストップ行政サービスが実現できた。

(2)システムの特徴

総合窓口システムは次のような特徴を持つ。

?@従来の縦割り組織を越えた広範囲な行政窓口サービスの提供

?A印鑑登録証としてIDカードの採用と将来の機能拡張への対応

?B職員の業務知識を補う窓口サポートシステムの開発

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION