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(3)制度・規則

他機関との文書交換が正式にネットワーク上で行われるにあたっては、従来の文書規則や諸制度の見直しが必要になる。監査対象までをも含めてネットワーク上を流れるメッセージの位置付けが現状では明確でないことに加えて、事務の流れの中で印影文書の代替に電子テキストがなるための措置が必要である。

監査については、従来の紙文書を基本としたものから、コンピュータファイル、さらにネットワークそのものの監査についてもその範囲に含めなければならない時期がすでに来ている。

(4)標準化

ネットワーク技術的な標準化と共に基本的な行政手続きの書式の標準化も課題である。認証やディレクトリサービスを例にとつていえば、霞が関WANで先行的にプロトコル標準X.400やX.500群の採用が決定されれば、自治体側でもその標準にすみやかに従うのがよい。ただし、組織内部的には簡易な対応するSMTPやLDAPを使用し、セキュリティ境界面でプロトコル変換するなどの柔軟に新しいものや、簡易なものに取り換えられるような措置が之、要である。

標準化はネットワーク技術だけにとどまらず、広域行政区域における書式の標準化あたりからも手をつけるべきである。

(5)ネットワーク運用における課題

なによりも、不足しているのはネットワーク運用経験である。神戸市役所においては過去、「阪神淡路大震災」や昨年の「須磨区小学生殺人事件」等の災害や事件にあたって、市役所を中心としたインターネット運用でいろいろな問題点と解決しなければならない課題をつきつけられてきた。前者においては、緊急時のコンピュータネットワークのありかた、後者の事件においては住民や職員のプライバシー保護問題やネットワークメディア特有の住民(もはや市民でもなくネットワークの中の住民)や業者への応対の方法等である。

いずれにせよ、行政機関におけるネットワーク活用という分野は、対住民や対他団体との両方の方向について未知なことも多く予測できない問題点も山積していると予想できる。その問題解決においてより多くの自治体職員の知恵の集積が望まれる。

 

 

 

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