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しかも、自治体間の通信ということでなく、県の防災用情報端末が市町村役場の防災担当の部署に設置されているというイメージなのである。

先ほどから述べているように、島根県ではしまねフロンティアネットワークという地域情報化のための高度情報通信網の整備につとめているところだが、情報機器を所有しない県民の方でも県からの情報提供が受けられるよう街頭型の県民端末を市町村役場のロビー等に設置することにしており、地域の合同庁舎と管内市町村役場とはデジタル通信網により接続を行う予定にしている。

この回線は基本的には公共用の通信回線になるのだが、公用にも活用することにより行政の事務手続きが情報化され様々な業務に利用できる可能性を秘めている。

そのため今後はアナログ中心の通信回線をデジタル化された回線に変更し、音声中心の情報伝達からデジタル化されたマルチメディアの情報伝達に変更し、様々な用途に利用できるようにする必要がある。

そして、今後の地方分権や広域行政に対応するため、業務の標準化や統合化を行い高度情報化社会の仕組みに対応した行政運営の仕組みを構築することが、情報基盤のハード整備と並んで大きな課題になってくる。

また、情報通信の基盤についても過疎地域や中山間地域・離島においては民間事業者の回線整備が十分に行われない可能性があるため、今後整備される市町村のCATV回線等のインフラを単に多チャンネルのテレビ映像の伝達に使うだけでなく、ケーブルモデム等を活用した双方向通信網として活用したり、地形にとらわれずデジタル情報を伝達可能な自治体衛星通信を高速デジタル化して高度利用し、自治体間のデジタル通信網に活用するなど新しいマルチメディア情報通信インフラを形成する必要がある。

人の過疎から情報過疎に

今述べたように21世紀は高度情報化により社会のあらゆる状況が変化していく。

島根県も21世紀までに十分なソフト基盤を整備できなければ、今度は「情報過疎地」一人も情報も流れ込んでこない地域になってしまう可能性がある。情報通信ネットワークなどのハード基盤整備にかかる長い時間を考えれば、今すぐにも取りかかる必要がある。 リーディング・プロジェクトは西暦2000年に完成する。 しかし、これは高度情報化の第一歩にすぎない。まず、通信基盤一つをとっても、しよねフロンティアネットワークだけでは21世紀の真のマルチメディア社会には十分に対応できない。マルチメディア社会では、高品質の映像や音声データが、個人個人の要望に応じて高速かつ安価に配信されるインフラの存在が最低条件となる。そのためには現在の電話回線などとは比較にならないくらい容量の大きな情報伝送路が必要となるのである。光ファイバーの必要性が叫ばれるのは、このためである。懇話会報告書は、県内の光ファイバー敷設をどのような枠組みで整備していくのかを確立することを提言している。またそのための手段として市町村や事業者が行うCATVへの支援を例示している。

また、行政が取り組むべきは基盤整備だけではない。民間サービスが情報化を進めて顧客の満足度を高めているように、行政サービスの分野でも幅広く情報通信技術を取り入れ行政運用の仕組みや従来の仕事のやり方を変え、在宅介護支援サービスなど直接的な住民福祉の向上や情報化を活用した産業支援など地域振興に生かしていく必要がある。

高度情報化は、行政や社会生活のあらゆる分野で効力を発揮できると思われる.

 

 

 

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