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第5節 神戸市:行政機関間におけるネットワーク活用の現状と今後の取り組み

―神戸市におけるネットワーク活用と今後の取り組み-

神戸市外国語大学助教授 芝 勝徳

 

1 はじめに

 

本稿は行政機関間におけるネットワーク活用について事例となる神戸市役所のネットワークを中心に述べる。

しかし、神戸市役所組織は現時点(以下すべて平成9年年末現在)、外部行政機関とは電子メールのやりとり以外は対外的にネットワーク接続されていない。そこで神戸市役所および地域内でのネットワークの整備状況およびその経過と、他の行政機関を含む対外接続に備えたネットワーク設計と運用のポイントを今後の課題として考察する。

ここでいう「神戸市役所ネットワーク」とは、インターネット(以下、The Internetをインターネットと略表記)への接続部分および業務を特定しない役所内のイントラネットをさし、ホストコンピュータを中心とした「住民基本台帳処理業務」や「財務会計システムJのような基幹特定業務のために敷設されたネットワークを除くものである。

 

2 神戸市役所および地域ネットワークの物理層

 

インターネットへの外部接続には、1.5Mbpsの専用線が2本用意されている。

イントラネットを支える物理層は、庁内LAN(10BASE5で構成)と市内の各区役所等を結ぶ64Kbpsの専用回線からなる。これに加えて「郵政省特殊法人通信放送機構神戸リサーチセンター」(以下TAO-KRCと略)が所有する実験網が庁内、ふと接続されて、神戸市役所イントラネットを支えている。

実験ネットワーク(図-1参照)は基幹部分が総延長53Kmの光ファイバ網で市域内の地下鉄の軌道線上を中心に平成8年度に敷設されている。市内の臨海地域から内陸地域に伸びており、15mmps×3と622Mbps×1本の合計4本の独立したATM層を持ちそれぞれ、行政内部、教育利用、防災利用、商用・市民利用を想定している。

この基幹には、市立の小中高校(274校)、市民病院、市役所組織外部のCATV放送業者のヘッドエンド3箇所、医師会事務局が接続され、デバイス単位では気象センサー等もインターネットプロトコルで収容されている。

基幹ファイバ網への各施設拠点、デバイスの接続の足周りの物理層は通信事業者の専用回線、ISDNを使用し、拠点間lKm程度の(数M〜100M)無線ネットワークを試行している。このプライベートなファイバ網はTAO‐KRCの研究開発終了後市内全域での地域イントラネット及び地域IXを可能にすることをその設計目標においたものである。

 

3 ネットワーク構成

 

(1)3層構造モデル

神戸市役所ネットワークの内部構成は図-2のような3層構造を成している。この各層はそれぞれのセキュリティ境界面を形成し、独立して動作する。境界面にはパケットフィルタリング、特定のアプリケーションゲートウェイ等の機能を装備した機器を配置している。運用面ではIPアドレス、メールアドレスの管理等、組織全体と

 

 

 

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