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の環境が急速に整いはじめたのが、'95年なのである。

パソコンの価格破壊と性能競争で、コンピュータは安く高性能になり、職場のメンバー全員に配ることが可能になってきたし、CALSやECが脚光を浴びたのは、ビジネス分野でネットワークがいよいよ本格的に導入されはじめたことを示している。

インターネットのブームは、「ネットワークの真打ち」ともいうべき画期的なインフラ(基盤)の登場に皆が驚き、魅力を感じたためであった。Windows95もインターネットへ容易に接続できるようにしてあるなどネットワークの使い勝手に工夫を凝らしている。

……しかし、それにしても「ネットワーク」って何なのであろう。私たちの仕事や暮らしはどう変わるのだろう? その具体的イメージはどんなものなのであろうか。

ネットワークが行政事務を変える

市町村役場の職員の方にこんな質問をしたことがある。「県から来た文書を見ながら、自分のワープロに入力し直した経験がありませんか?」 県職員が何時間もかけて入力した補助金の様式を、各市町村でまた作り直す。ばかばかしい無駄である。役場の中でも、分厚い例規の中の立った一つの条文がどうしても見つからなかったり、あるテーマの事業一覧を作ろうとして、各課を歩き回り簿冊の山と格闘したリー地方分権でますます忙しくなるというのに、なんとかならないものだろうか。

もし、県庁のコンピュータから役場の机上ワープロへ、様式ファイルを直接取り寄せることができるとしたらどうだろう。役場各課のパソコンに入力したデータを、あたかも自分のコンピュータの中にあるように利用できたら? そうやって作った文書を、机のパソコンからいきなり(プリンタも使わずに)口やかましく催促する県庁の担当者へ電子的に送ることができたら?

「ネットワーク社会」ではコンピュータはネットワークでつながりあっており、こうしたことが当然となる社会である。そしてそれは「近い将来」ではなく「既に」現実となっているのである。米国では電子メール(コンピュータネットワークを利用して届ける電子の手紙)カミ法律上の公証能力を持つ公式文書と認められている。ある商社では商法上必要な契約書、請求書等以外はすべて電子メールにする予定ということである。

大企業だけではない。家のテレビをインターネノトにつなげば、インターネット上のラジオ局で最新のニュースや新曲が楽しめる。将来は、個々のパソコンにはソフトを入れなくても、作業をするときだけネットワークからソフトを(レンタルビデオのように)借りてくればいいようになる一という人もいる。そうなれば、その時代のネットワークは、今のテレビと新聞と電話と図書館をすべて合わせた以上の働きを持つようになるだろう。新聞と電話なしではビジネスができないように、ネットワークを無視しては社会活動に参加することすら難しい時代がやってこようとしているのである。

情報化は21世紀の道路づくり

日本の産業がハードからソフトへと変貌していく中、島根県にとっても若者の定住を目指した企業誘致などが行われている。

しかし、工業化社会、つまり、ものづくり社会に必要なインフラの整備が島根県では十分に行われなかった。

 

 

 

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