第4節 島根県:行政機関間におけるネットワーク活用の現状と今後の取り組み
一島根県の情報化施策としまねフロンティアネットワーク一
島根県総務部情報システム課課長補佐 井上 睦英
細長く離れた県主を丸く
島根県は大西200キロあまりの細長い県上と隠岐の島という離島を抱えている.
このような地理的条件の中、県土を縦断する新幹線も、高速道路もない。このように島根県では産業の基盤となるハードインフラの整備が遅れているために若者が働く製造業などの立地が少なく、過疎化と高齢化の問題を県の重要課題として抱えている。
島根県は、高度情報化によるネットワークの構築が県内の時間距離を縮め、県土を丸くしていく役割と新しい時代の産業立地の可能性を開拓すると考え、積極的な高度情報化への取り組みを行っている。
島根県にとつての高度情報化とは
平成7年9月、「島根県地域情報化促進懇話会」(委員長:高安克巳島根大学教授)は知事に対して報告書「21世紀一豊かなる『情報フロンティアしまね』への提言」を提出した。この報告書は、島根県の現状と高度情報通信社会の在り方を分析し、島根県にとつて「高度情報化」が持つ意味を二つに分けて説明している。
一つは、高度情報化が島根県の抱える課題の解決に資する可能性を持っていること。つまり高度な情報通信技術やサービスによって、地理的ハンディキャップや産業基盤整備の遅れを挽回し、高齢化社会を支え、定住を促進させる効果が期待できるということである。
もう一つは、高度情報通信社会が新たな地域格差を生む危険性があること.高速道路や新幹線など社会資本の偏りが均衡ある国土の発展を妨げているように、情報通信の領域でも基盤整備の遅れが地域格差を招くおそれがあるということである。また、将来成長が見込まれる産業分野を県内に育てていくためにも、情報面での強化が必要と説いている。そして報告書は、民間通信事業者の事業進出が見込めなかったり、遅れたりする分野については行政が先導的に取り組む之、要性がある、としている。
島根県は今後この二つの視点、すなわち「今の島根の地域課題に高度な情報通信技術やサービスを役立てていくことJと「間近に迫った高度情報通信社会に備えた地域づくりを進め、また支援すること」に立って、高度情報化の促進に取り組んでいく必要がある。
島根県の地域情報化事業(リーディング・プロジェクト)について
島根県は、平成7年度に「しまね情報フロンティア21Cプラザ建設及びネットワーク整備事業」をスタートさせた。これは島根県長期計画に戦略プロジェクトとして挙げられていた事業の具体化であり、県下13カ所のアクセスポイントを有する高度な情報通信網「しまねフロンティアネットワーク」と、地域情報化を促進するための情報交流拠点施設「しよね情報フ11ンティア21Cプラザ」等を県下に整備する事業である。
事業期間は平成7年度から11年度で、島根県が行う情報化事業として空前の規模であることはもちろん、全国的にみても先進性を誇ることのできる大規模プロジェクトである