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第6章 事例偏・行政機関間におけるネットワーク活用の現状と今後の取り組み

 

第1節 総務庁:行政機関間におけるネットワーク活用の現状と今後の取り組み

-霞が関WANを中心として-

総務庁行政管理局行政情報システム企画課課長補佐 中井川禎彦

 

1 霞が関WANとは

 

霞が関WANは、各省庁のLAN(Local Area Network)を結ぶ省庁間ネットワークである。「行政情報化推進基本計画J(平成6年12月25日閣議決定)に基づいて整備したものであり、平成9年(1997年)1月から運用を開始している。

霞が関WANでは、電子メールや電子文書交換システムなどによる省庁間のコミュニケーションの迅速化・高度化、法令、白書等のデータベースによる情報共有の推進等を図るための総合的なネットワークであり、後述するような多様なコンテンツの利用を想定している。

 

2 霞が関WAN整備の経緯・背景

 

上記基本計画においては、『省庁間の情報流通の円滑化・高度化を図るため、各省庁の施設内ネットワークを相互に接続する省庁間ネットワーク、いわゆる霞が関WANについて、ネットワークの運用管理、接続方式等具体的な検討を行い、円滑・早期に整備する』とされている。

「行政の情報化」は、近年におけるインターネットの普及に端を発する相互接続性の高い技術仕様(UNIX、TCP/IPなど)の普及やパソコンを始めとする情報通信機器の価格の低廉化などの情報通信技術の成果を行政部門に広く取りいれ、行政の簡素化・効率化、行政サービスの向上等を図ろうとするものであるが、そのためには先ずその成果を活用しうる基盤の整備が不可欠であるこのため、各省庁部内にあっては、職員一人ひとりが常時情報機器を活用しうる環境(一人1台パソコン)の整備とこれを結ぶ省庁内のネットワーク(LAN)の整備、さらに省庁間にあっては、これらLANを相互に接続して省庁間で日常的に行われている各種の連絡、協議や総合的な情報の共有を図るための省庁間ネットワークを整備することとしたものである。この省庁間ネットワークが霞が関WANであり、中央省庁を結ぶ広域ネットワークの意味で「霞が関WAN(Wide Area Network)」と称することとした基本計画の決定を受け、総務庁を中心として直ちに検討に着手し、各省庁官房長等から構成される行政情報システム各省庁連絡会議において、その下に設置された共通システム専門部会でのセキュリティの確保方策、運用管理体制等について技術面、運用面の検討を進めつつ、基本仕様、運用管理に係る基本原則を定め、運用開始に至った。

 

3 霞が関WANの基本仕様

 

霞が関WANは、少しずつ仕様の異なる各省庁のLANを接続し、高度な情報交換が可能なものとするだ、要があるこのため、ネットワーク間の柔軟な接続を可能とするインターネット標準を採用することを基本として、インターネット標準では実現困難な機能については別の国際的な標準を採用している。

また、国の行政機関の業務の性格上、ネットワークセキュリティの確保には万全を期す必要があり、ユーザとなる各省庁のセキュリティ確保についての要請くう大きなものがあったことから、種々のセキュリティ確保措置を講じている。

 

 

 

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