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1-5 情報ランキングが求める総合行政ネットワーク像

 

以上の考察から、ここでは情報ランキングが求める機能と、その機能の実現に必要な情報通信技術を関連付け、総合行政ネットワーク像を考察する。

まずネットワーク構築の前提となる情報通信インフラの選択であるが、情報ランキングの推察から、地方公共団体間で交換・提供されている行政文書等において機密性、公報性、迅速性、大量性を要しない情報の合計は全体の約半数であることがわかる。これらの情報は、機密保持手段や認証手段を必要とせず、そのままインターネットでの交換・提供が可能なものである。既存の情報通信インフラを有効活用することは、地方公共団体の財政負担を軽減するだけでなく、高い費用対効果を実現することも可能であることから、これらの情報の交換・提供に係る総合行政ネットワークの情報通信インフラとしては、インターネットが最もふさわしいものであると考えられる。インターネットを情報通信インフラと位置付けることにより、短期間に3,300の全地方公共団体が総合行政ネットワークに参加することも可能となる。

しかしながら、総合行政ネットワークによって地方公共団体間において交換・提供を行う情報には、機密性を有する行政文書等や公認性を有する行政文書(公文書)のように、暗号技術や認証技術等さまざまな技術によってセキュリティを確保しておかねばならないものもある。

したがって、交換・提供する情報が有する属性が必要とするセキュリティレベルに応じ、次の二つの総合行政ネットワーク像を導き出すことができる。

●総合行政ネットワーク(A)

機密保持手段(暗号技術)、認証手段(認証技術)を必要としない機密性の低いネットワーク段階である。

この段階で交換・提供される行政文書等は、機密性を有しない地方公共団体間の事務連絡等である。

●総合行政ネットワーク(B)

機を保持手段は必要だが、認証手段までは必要としない一部機密性の高いネットワーク段階である。

この段階で交換・提供される行政文書等は、機密性を有しない地方公共団体間の事務連絡等は当然として、機密性のある事務連絡等までを含んだものである。

●総合行政ネットワーク(C)

機密保持手段は当然として、認証手段までも必要とする機密性の高いネットワーク段階である。

この段階で公文書を含むすべての行政文書等を地方公共団体間で交換・提供することが可能となる。

 

 

 

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