答を得た。例えば、情報の要求が複数の経路を経由することにより、複数の組織から同じ情報を要求されたり、また、過去に提出済み、公開済みの情報を要求されたことがあったとのことである。
総合行政ネットワークという共通仕様のネットワークに接続することにより、交換される情報が整理され、重複情報を交換する手間は低減されると思われる。ただし、業務間における文書の書式や交換事務手続などの整合性が求められる。
(5)霞が関WAN及びインターネットとの接続時の効果
現状の霞が関WAN、インターネットとの接続時の期待効果を見ると、両方とも「国を含む外部との情報交換事務の簡素化」が多く、対外接続されるネットワークに対しての現実的なニーズとしては、業務事務の効率化、事務の軽減が求められていることになる。
総合行政ネットワーク構築においては、業務事務の効率化、事務の軽減に加えて、ネットワークの情報共有機能を生かし、行政サービスの向上と新たな行政サービスの提供を可能とすることが重要になる。 したがって、現状の短期的な課題を改善することも重要であるが、政策的な観点により、従来の行政事務から前向きに脱却するという考え方へ円滑に意識改革することが望まれる。
(6)対外接続時の優先的に改善すべき課題
優先的に改善すべき課題としては、「セキュリティの確保」の回答数が多く、電話や郵便と比較してネットワークの安全性を高めていく芝、要があることを示していると思われる。
現在における総合行政ネットワークの技術的な課題は、「セキュリティの確保」である。セキュリティの確保については、今後の技術動向を見定めつつ、どの技術レベルで利用範囲を広げるかの検討も必要であるが、飛躍的な情報通信技術の革新を考慮すると、先行的なネットワーク利用が望まれる。
ネットワーク構築において、技術面からセキュリティの確保及びネットワークの信頼性の向上は重要課題であるが、政策面、業務面においてもいくつかの課題があると思われる。
ネットワークは、自分と相手を接続するものであるため、両者とも同じ上俵であることが前提であるが、情報インフラ等の情報格差や利用者同士の情報リテラシー等、地方公共団体別の情報化政策により不均衡になる場合が考えられる。
また、ネットワークは一つの業務の中に取り込まれるものだけではなく、業務と業務を結ぶものであるため、業務同士における文書の書式や交換事務手続などの整合性が求められる。特に総合行政ネットワークは、重複しないネットワークの構築を目指すため、一つの業務に偏るのではなく、横断的に行政組織を捉えることが求められる.
ネットワーク構築後、ネットワークが行政機関において有効に機能するためには、情報の提供する側と要求する側とも、情報の分類、整理が必要である.一つの業務本位で情報を管理するのではなく、オープンに情報を共有できるように情報管理の標準化を推進することが求められる.
行政文書がFAXでも取り扱え、公印の省略化が推進されるように、ネットワークによる業務の新たな改革が求められるとき、行政機関が従来の縦害り組織を解消し行政事務の効率化を目指すことが重要である。また、その前提の下、ネットワークの情報共有機能を生かし、行政サービスの向上と新たな行政サービスを提供するため、既存の常識にとらわれることなく新たな発想により行政を運営していくことが重要であると考えられる。