第4節 熊本市食肉衛生検査システムの概要
熊本市保健衛生局衛生部食肉衛生検査所
4-1 は じ め に
熊本市食肉衛生検査所の業務目的は、安全で衛生的な食肉を消費者に供給することです。すなわち、熊本市食肉センターに搬入された獣畜がと殺・解体される段階での、疾病を排除する「と畜検査」、有害物質を排除する「残留有害物質検査」、食肉への微生物の二次汚染を防ぐための「微生物制御」の三つが主な業務となっています。本システムは、これらの検査データを処理することを目的として、平成3年度に導入の検討を開始し、平成7年度から開発に取り組み、平成8年2月に稼働しました。
4-2 システム構築の動機
当食肉衛生検査所では、食肉センターに搬入される獣畜(牛・馬・豚・羊・山羊;年間約11万頭)の食肉衛生検査を行い、 1頭ごとにその詳細を記録しています。しかし、記録すべき項目が多岐にわたるため、数冊に分散した台帳に手書きで記入し、保存・使用していました。そのため、これらのデータの統計処理及び検索が全て手作業となり、相当の時間と労力を要し、集計ミスも生じやすい状況でした。
一方、関係機関や畜産業界からの情報提供依頼も増えてきています。そこで、当検査所は、より健康な獣畜の生産を目的とした、検査データのフィードバックを行っています。しかし、より的確な情報を提供するにはデータの集計及び解析が必要ですが、手作業では非常に困難なため、多くは個体別の所見中心のものでした。
そこで、食肉衛生検査データを一元的に管理し、正確性・迅速性を高めながら有効利用を行うと共に、事務処理の簡素化、省力化を目的としたシステムを構築することになりました。
4-3 検査業務の流れ(図-1参照)
食肉衛生検査は、健康畜検査と病畜検査に大別されます。健康畜検査とは、生体で特に異常がないものについて、流れ作業の中で行う検査で、大動物検査(馬・牛等)と小動物検査(豚)に分かれます。病畜検査とは、例えば骨折や脱臼したもの、何らかの原因で状態がよくない等、明らかに病気や異常の認められるものについて行う検査で、1頭ずつ病畜専用のと殺・解体室で行います。