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(3)知的所有権の観点から

国内では、公的機関が作成したデータの著作権の所在が明文化されておらず、また利用手続きも規定されていない。従って、データ流通に際して、促進要素となる提供価格の設定が困難な状況にある。

今後、携帯情報ツールを利用して、公益企業・教育機関・民間企業などとのデータ流通を図る必要がでてきた場合に備え、海外先進諸国の事例や、国の情報化政策などを勘案し、行政は、データの所有権の在り方に関して、基本的な考え方や方向性などを提示していくことが望まれる。

特に、これから地方公共団体において整備が促進され、将来は民間企業との連携が図られることも見込まれるGISに関しては、地方公共団体が空間データを作成するケースが多いため、著作権の在り方を明確にし、官民間におけるデータ交換をスムーズにしていくことが望まれる。

 

2-7 個人情報保護への対応

 

情報化社会が進展するにつれて、さまざまな情報が容易に加工・配布・閲覧されるようになった。各地方公共団体においても、コンピュータ処理される個人情報の量と範囲が拡大するにつれ、住民のプライバシーに関わる個人情報の収集・利用目的・管理方法などに関する規定や、個人情報の開示に関する取扱いなどについて制度を整備していくことに活発に取組まれているのが現状である。

携帯情報ツールを活用した業務システムの特徴として、携帯情報端末はその携帯性ゆえに盗難や置き忘れなどの事故が起こりうる。また庁外における業務を外部業者に委ねるケースが増えることも想定される。行政業務で利用される庁内の端末と同様に、携帯情報端末においても個人情報を取り扱うこととなり、もしそれらの情報が第三者の手に渡れば、本来の利用目的以外に不正に利用される可能性が生じる。従って、携帯情報ツールを用いた庁外業務システムでは、従来の情報システム以上に、第三者に対する堅固な個人情報の漏洩防止対策が必要となる。

対応する方策として、個人情報の厳重な取り扱いを徹底するために、端末利用者に対する対策と、業務システム設計上とるべき対策とが考えられる。まず、携帯情報ツールで個人情報を扱う人に対しては、個人情報保護に関する理解と認識を深めるための対策を講じる必要がある。研修やガイドブック、あるいは広報誌などを通して、携帯情報端末を利用する者の不用意な行動が個人情報保護上どのような問題を招く可能性があるかなどについて、職員や外部委託業者に周知徹底していかなければならない。

 

 

 

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