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収集した現場データを、災害対策本部などで一旦受信し、まとめて関連機関へ配信する方法を基本としつつ、緊急を要する状況下においては、現場の携帯情報ツールから、無線通信機能をフルに生かして、直接必要となる機関に対して送信するなどの選択肢も考えられる。従って、対象となることが想定される主要な関連機関から、災害対策本部への報告をスムーズに実現できるネットワークを構築することが望ましい。

また、災害発生時の救援活動において、近隣市町村や都道府県との連携をスムーズに行えるようにするため、あらかじめ関連する地方公共団体が合同で、災害発生時の連携活動に関するシミュレーションなどを実施していくことは、どのような情報を、どのようなタイミングで伝送すれば、どのような判断が下せるのかについて、それぞれの市町村で認識を深める上で極めて有効となる。広域災害対策を効率的に実現するために、構築した広域連携システムの運用を定期的に実験していくことが望まれる。

広域連携を実現するためには、制度面での整備も必要となる。特に、巨大地震などのケースでは、最も被害を受けた市町村が、停電や機器の破損などにより被害情報の収集すらできないこともある。このような状況に備えるためにも、被害の少ない近隣市町村が、情報の収集・分析・発信業務に至るまで、当面の間、肩代わりできるような体制作りが望まれる。

 

2-5 非常時防災業務用ツールの日常利用

 

災害発生時などの非常時防災業務用システムでは、非常時に最も威力を発揮する方法でシステムが設計され、最適な携帯情報ツールが選択されるべきである。しかし一方で、いつ発生するか予測できない大規模な災害を前提に整備されているため、最新の設備やツールを整備したものの、使われないままにシステムや携帯情報ツールが陳腐化する、という事態が幸いにして起こりがちとなる。従って、資源の有効活用の観点からも、システムの活用に習熟し非常時においての救援体制を確実なものにするためにも、日常利用の在り方について考慮しておく必要があろう。

携帯情報ツールを日常的に利用し、かつ災害が発生したら即座に救援活動用に切り替えられることが保証されていなければならない。そのため、通常時における災害情報システムの利用は、火災発生時の消火・救済業務を行う消防・防災関連分野において馴染みやすい。また、非常時防災業務では、GPS・無線通信・デジタルカメラ機能などを搭載した携帯情報ツールを活用するケースが多くなると思われ、通常時にそれらの機能を生かせる業務を検討していくことも望ましい。例えば、各種公共施設の外観管理・交通規制時の道路管理・高

 

 

 

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