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2-1 組織横断的なシステム利用

 

庁内の情報通信システムは、もともと、組織ごとの業務効率化をめざして部署単位に構築されてきたものが多いが、最近導入が盛んになってきた庁内LANなど庁内のネットワーク化によって、徐々に部署間におけるデータ共用化が検討されてきているところである。 しかし、庁内業務の効率化の鍵となるデータ共用化を、携帯情報ツールを利用した業務システムの導入により促進していくためには、このような庁内LANなどのハード面での整備と共に、異なる部署間において業務面での連携を図り、組織横断的なシステム利用を実現していく必要がある。

携帯情報ツールは、時間や空間という制約から業務の遂行を解放させ、柔軟な業務形態を実現することを可能にする。現在、地方公共団体では、庁内の情報通信システムに、業務遂行のために必要な情報を取り込み、搭載された情報処理機能を利用して、自動的に業務を遂行している。この一連の過程を、さらに、庁舎や公共施設内を移動中や、屋外環境下においても実行可能にするのが携帯情報ツールである。そして、携帯情報端末と携帯通信機器との併用で、必要な情報の取り込みや、業務遂行結果の報告を、基本的に24時間いつでも可能にできる。しかし、庁内LANや通信用サーバーが整備されていても、実際に業務面における連携が異なる部署間で図られなければ、組織横断的なシステム利用は実現されず、携帯情報ツールのメリットを充分に生かした行政業務の柔軟な遂行は困難となる。

例えば、類似した訪問型の利用形態でありながら、扱う情報の管轄部署が異なる調査業務や徴収業務の中には、担当の職員や外部委託業者が、複数部署の業務を一括して取り扱った方が、効率的に遂行できる業務があると思われる。中でも、訪問先において、詳しい業務知識などが求められないケースについては、より実現の可能性が高いと考えられる。

このように、庁内での組織横断的な連携を業務面で図るためには、複数部署のコンセンサスを得ることが前提となり、さらに、庁内ルールなどの制度面での対応も検討しなければならない。従って、その実現のためには多くの努力と時間が必要になると思われるが、業務の効率化に対する意識統一を図り、可能な範囲から、類似した作業群を、組織の壁を越えて統合化していく姿勢が重要であろう。

 

 

 

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