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1-3 地方公共団体特有の環境

 

地方公共団体における携帯情報ツールを含めた情報通信システムの構築は、庁外における通信インフラの整備状況や、庁内システムのネットワーク整備状況に加え、情報システムに関わる制度の在り方や、地域の気象条件により実現可能な範囲が限定されるため、地方公共団体それぞれが抱える固有の環境要因が、システムの設計や運用に大きく影響を及ぼすことに留意する必要がある。

 

(1)通信インフラの整備状況

携帯情報端末に保管した情報を、移動先から通信により庁内システムと交換する際、どのような通信媒体を使うかについては、各地方公共団体を取り巻く通信インフラに依存するところである。現在、無線通信に関しては、携帯電話網の利用が一般的となりつつあるが、PHS電話網も盛んに拡充されてきている。また携帯衛星電話などの通信手段も選択肢に加わった。従って、システムの設計段階で、その地域の将来的な通信インフラの整備状況を見越して、可能となる通信手段を効率的に利用していくことが肝要である。

また、業務によってはカバーすべき通信エリアが異なる場合があるため、山間部や湖沼地などを含めた広域か、商業地や住宅地のみの狭い範囲かによって、利用できる通信手段を選択するた必要がある。例えば、防災業務など、山間部も含め全域で通信手段を確保する必要がある場合では、衛星携帯電話などの活用も含めて検討していく必要があろう。

 

(2)庁内システムの整備状況

一般的に、携帯情報ツールを利用する情報システムでは、庁内システムのDBとのデータ送受信(バッチ、あるいはリアルタイム)が必要となる。庁内LANに代表される庁内ネットワークが既に構築されている場合は、携帯情報ツールと庁内システムとの連携も取りやすい。しかし、庁内システムのネットワーク化が進んでいない場合には、携帯情報ツールの導入とともに、庁内ネットワークも同時に整備する必要がある。

 

(3)情報システムに関わる制度

携帯情報ツールを含めた情報システムを構築する場合、屋外での情報処理機器の利用が前提となるため、条例や規則など、様々なルールに抵触する可能性がある。従って、個人情報保護あるいはデータ管理規定などのルールに充分留意して、システムの構築を行う必要がある。なお、場合によっては、ルール自体の見直しも考慮することが望まれる。

 

 

 

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