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これらのメタノールの大部分は、ホルマリン等の化学原料であり、純度99.9%以上に維持されている。したがって、その他の化学物質(着色剤)を混入するということは、化学原料として見た場合、品質保持に問題を生ずることになる。

 

1.3 将来展望

メタノール自動車とメタノール燃料は、鶏と卵の関係にあると言われている。いずれが先かという議論がずいぶん行われたが、1993年4月「エコ・ステーション2000計画」の推進役を果たす財団法人エコ・ステーション推進協会が設立され、このジレンマが断ち切られることとなった。現在、電気スタンド、天然ガススタンドと並んで、メタノールスタンドの設置が推進され、燃料供給施設が一歩前進する形となった。

しかしながら、両者は本来的には「車の両輪」の関係にあり、燃料スタンドだけが無制限に増加するということはあり得ない。やはり、メタノール車の普及台数が、これに応える形で増加しなければ、スタンド設置の勢いは衰えることになる。

メタノール燃料が、石油代替の自動車用(液体)燃料として最有力であることは論を待たないところであるが、その成熟(成長)過程は明らかでない。近い将来、再び石油危機が訪れ、わが国でも爆発的なメタノール燃料の需要が発生するとの意見もあるが、確たる根拠はない。他の代替燃料と市場を分け合うことも十分想定される。

メタノール燃料を自動車用に用いる場合の利用方式も不透明である。現在は、従来の内燃機関をベースに改造したエンジンが主流であるが、メタノールの燃料としての特性を生かしきっているとは言えない。最近では、超低公害で効率の高いメタノールを燃料にした燃料電池の開発も急ピッチで進んでおり、地域、地球環境問題への対応の面から期待されている。このプロジェクトでは、現在のメタノールエンジンを前提にしてメタノールに着色するための研究を行ってきたが、新しい動力源が現れた場合には、その適合性を再度検討する必要もあろう。

 

 

 

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