第1章 メタノール自動車及び燃料の現状と将来展望
第一次石油危機(1973年)を契機に、石油代替エネルギー対策として、アルコールに関する研究開発が欧米各国で進められた。国際的には、1974年11月経済協力開発機構(OECD)理事会決定に基づき、IEP(国際エネルギー計画)の実施機関として国際エネルギー機関(IEA)が設立され、わが国もこれに加盟してアルコールに関する共同研究等に参加してきた。
国内的には、通産省・資源エネルギー庁及び運輸省が、石油代替エネルギー対策として、メタノールを自動車燃料として使用する検討を始めたが、最近ではメタノール自動車の低公害性に着目し、環境問題を解決する手段の一つとして導入が進められている。以下、本調査研究の主旨にのっとり、100%メタノール燃料(M100)を主体として報告する。
1.1 メタノール自動車の現状
(1)国内の状況
100%メタノール(M100)を燃料とするメタノール自動車については、小型トラックの部門では、1986年以降主として運輸省の指導の下で、日本メタノール自動車株式会社が市内走行試験等を実施してきた。
また、大型バスの部門では、1993年以降3カ年の予定で通産省資源エネルギー庁が主導して、石油産業活性化センターが走行試験等を実施している。
1992年6月「自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(NOx新法)」(環境庁所管)が施行され、大都市地域における大気汚染防止対策は、具体化に向かって一歩前進することとなり、メタノール自動車等の低公害車の普及の機運が芽生えてきた。
1994年4月、消防法(自治省消防庁主管)が改正され、メタノールスタンドの設置について法的な基準が定められた。
同じく1994年4月、毒物及び劇物取締法施行規則(厚生省主管)の改正により、着色することによりー般化学用メタノールと区別され、内燃機関用メタノールのみを取り扱う毒物劇物販売業においては、営業の登録に関する規制緩和及び毒物劇物取扱者試験による資格取得の容易化が行われた。
1997年3月末現在、メタノール自動車の普及台数は運送事業者等を対象として、