や補助金などの財政面に関しては問題が生じることがあるという回答を受けた。調査を行った自治体が限定されているのでこの回答を一般化することはできないが、制度のみを見て国家は地方を抑圧している、ないし国家と地方とは対立関係にあるという判断を下すのは早計である可能性も高いと考えられる。
(7)地方公務員制度
ポーランドの場合地方団体の公務員に関しては、県と支庁に勤務する職員は国家公務員、グミナに勤務する職員は地方公務員(ポーランド語では自治体公務員)となる。1995年の段階で前者には約3万1千人、後者は約13万9千人が勤務している。ちなみに国家公務員は全体で約14万2千人(1995年)で、雇用人口の約1.5%を占める。また平均月収は国家公務員全体では943ズウォチ、県などの地方組織に勤務する国家公務員は714ズウォチ、地方公務員は701ズウォチ程度で、全雇用者の平均月収702ズウォチとほぼ同程度となっている(1ズウォチは1996年11月の段階でおよそ42.8円である)。
ここではポーランドの地方公務員制度について、概略を提示しておく。「自治体公務員に関する法律(1990年3月22日公布、以下“自治体公務員法”と表記する)」によれば、自治体公務員となることができるのは18歳以上のポーランド市民で、公務に就くために必要な経験と専門的な資格を有する者、公法上の資格を享受しうる立場にあり、規定の職務を行えるだけの健康状態を有する者とされている(自治体公務員法第3条)。自治体公務員は、以下の4つのグループに分けられている(同第2条)。
<1>選挙により当該の職に雇用される公務員=グミナの長、もしくは市長、及びグミナの幹部会の構成員・自治体の連合体の幹部会議長、並びにその構成員。
<2>任免に関して評議会の議決を必要とする公務員:グミナの書記局長・主計官。
上の<1>、<2>のグループに属する自治体公務員には、地方自治法の規定が適用される。