なる。また、地方自治機関は、住民のために法律に定める手続で対外経済活動を行なう権利を有している。
オ 地方予算
自治体予算は、地方予算である。地方予算の編成、承認および執行ならびに執行にたいする監督は、地方自治機関が自主的にこれを行なう。地方予算の歳入に算入されるのは、地方税、連邦的法律およびロシア連邦構成主体の法律で定められ、構成主体の税からの控除金、個々の国家的権限の実現のために国家権力機関が地方自治機関に移管する財政資金、財産の私有化、自治体財産の賃貸、地方債および宝くじからの収入、自治体の企業、施設および団体の利潤の一部、補助金、移転交付金、法律および地方自治機関の決定にしたがったその他の収入ならびに地方自治機関の活動の結果形成されるその他の資金である。また連邦と構成主体は、自治体に、地方予算の歳出の最低基準の財政的保障を行なうこととされている。現状にみあう措置ではあるが、連邦財政も税収が思うにまかせない現在では、どれだけ実効的な規定であるかは疑わしい。連邦と構成主体が採択した政策により、地方自治機関の歳出が増大した場合は、その政策決定を行なった機関がこれを補填するとしている点も注目しておいてよい。
カ 国家的支援(補助金行政含む)
現在、国家の財政援助なしに財政自立できる構成主体、自治体はきわめて少数にとどまっている。町村レベルの文化施設が次々と閉鎖に追い込まれている。もっとも連邦レベルでも、エルミタージュ美術館や国立図書館(旧レーニン図書館)でさえ、その維持に汲々としている状況である。そして、この制度が現在のロシアの政治の枠組み(大統領を中心に据えた権威主義的統治)を維持するうえで、大きな役割を果たしているともいえる。連邦と構成主体の国家権力機関は、地方自治の確立および発展の法的、組織的、物的財政的条件をつくり、地方自治の権利の実現のために住民を援助することとされており、実際に国家的支援の計画も作成されているが、政治的にはともかく、実態として自治の援助になりえているかどうかは楽観を許さない。
(7)地方自治の確立への途上
こうして成立した95年地方自治法にもとづいて、ロシアに地方自治が根を下ろすことが期待されるところとなった。しかし、地方自治のもっとも重要な担い手たる地方議会と行政長官の選挙は、思うにまかせなかった。もともと、93年秋の最高会議と地方ソビエトの強行的解散の折りには、地方選挙は94年春に予定されていたは