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第6章 島の産業活性化方策

1 本土近接型小離島の産業振興の視点

(1)背景:離島全般の産業振興の大枠

ア わが国の産業柵造の展望

わが国の産業構造は、物的生産から知識・サービス生産へと変化しつつある。その変化の特性は、資本集約型から知識・人材集約型への変容といわれ、経済のソフト化・サービス化によって、高度の技術・研究開発を資本とする先端技術型製造業及び第3次産業の台頭、サービス化と結びついた第1次産業の展開など、産業内複合とともに、第1次、第2次、第3次産業の立体複合産業化が展望される。
 なかでも、第3次産業化の進展はめざましく、その具体的な内容は、情報処理業やリース産業の伸びの増大、自由時間社会の定着による観光・リゾート産業、生涯学習二一ズの増大と結びついた教育・学習型の産業、高齢者の介護に関連する福祉サービス産業、高度の情報・技術や手づくりを複合的に駆使したデザイン産業や研究開発型産業などの伸びの増大があげられる。

イ 離島の産業振興の方向

 これまでの離島の産業は地域資源依存度の高い農林水産業が中心を成し、特殊な所を除いて、これに観光産業が加わる形で推移してきた。
 従前からいわれるように、離島の物的生産業を低位にする要因は、運賃負担力を吸収できる高付加価値商品開発の脆弱さにある。しかも、離島の立地特性から、大量生産になじむ物づくり産業は一般に適しておらず、今後国際分業の進むなかでは、さらに厳しいものとなることが予想される。したがって、離島は、多様化・高度化する消費二一ズに対して、多品種少量生産、少量流通かつ運賃負担力のある高付加価値商品を開発・生産してゆくことが基本的な方向である。
 例えば、増大する近海ものや市場商品としての高級魚貝類などの栽培漁業による“活魚”産業(水産業)は、島の産業として今後とも中心的な位置を担う可能性があり、また、健康志向に対応した薬草・健康食品の開発などもその一例である。
 一方、先に述べたように、経済のサービス化・情報化の流れのなかで、従来とは異なる産業の台頭と離島への立地の可能性が予測される。それは大掴みにいえば、デザインや研究開発機能と結びついた情報サービス産業である。
 これらの離島における産業を育成強化する条件を既存調査(財団法人目本離島センター「離島への産業誘導方策に関する調査」平成4年3月)から引用すると、次の5点に集約される。

 

 

 

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