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 等にする方策が望まれる。

  6−4内航船員確保のための方策

 内航海運では、船員の高齢化が進んでいるため、若年船員の確保が急務となっており、経営上の問題点として「船員の確保」をあげた企業が75%以上にも達し、「船員の高齢化」も多くの業者があげている。これは、船員費が運航コストの50%弱を占める中で高齢化に伴う賃金の高騰を解消するために若手船員の確保が極めて重要な課題となっていることを表している。
 こうした状況下において、既に「内航船員不足問題を考える懇談会」の報告に基づいて、業界では労働条件の改善、労働環境の改善、リクルート対策の強化等の施策を進めている。例えば、週休2日制の導入や船内居住環境の改善、若年船員の内航業界への就職斡旋等が検討、実行されている。
 九州地方海運組合連合会では、平成2年1月31日に九州地区船員対策連絡協議会を全国に先駆けて設立し、若年船員確保対策の取組みを本格的に開始した。その取組みの主なものは、次のとおりである。

   ? 中学生、高校生向けに作成した広報パンフレット「Let's G0 TO SEA」(船員になろうの意)を配付し、船員労働の魅力、船員になるための進学方法等の広報を実施。

   ? テレビによる船員職業に対するイメージアップと船員募集のPRを実施。

   ? 船員教育機関を卒業していない若者等に対する「内航船員新規就業者研修」を実施し、1ケ月間に内航船員としての心構え、基礎動作、四級小型船舶操縦士の資格取得等を付与。

   ? 内航海運とはどういうものかを知ってもらい、その上で、生徒の進路指導の選択肢の一つとして「船員職業」もあることを宣伝するために、中学校の進路指導の教師等を対象とした内航海運の説明会と体験クルージングを実施。

 こうした取組みのなかで、内航船員新規就業者研修については、総連合への取組みに引継がれたが、こうした九州での独自の取組みは高く評価されるものである。また、総連合でも若年者の雇用助成を行うなどの諸施策が行われている。
 こうした各種の取り組み等については今後とも内航業界は一丸となって、積極的に取組み若者の雇用を実現していく必要がある。そのためには、労働時間の短縮、休暇の増加や給与の割増等の方法を講じ、内航海運の将来性を含めた魅力ある職場づくりを図らなければならない。

 

 

 

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