日本財団 図書館


 内航海運については、内航海運を活用した九州でのモーダルシフトを専門的に検討するため、協議会の中に荷主企業、トラック運送事業者、港湾運送事業者及び内航海運事業者等からなる「内航船部会」を設けている。
 同部会では、荷主企業の物流二一ズや内航船へのモーダルシフトに関する問題点や課題を整理して意見交換を行い、内航海運に係わる課題や制約要因の段階的解消に向けて検討を行っている。

  (2)モーダルシフトの推進に向けて

 今回の実態調査によれば、九州発着輸送における過去3年間でモーダルシフトを行った荷主企業は48社(16.2%)であり、海運へ移行した事例は14件であった。変更の主な理由は「トータル運賃」であり、内航輸送のもつ大量、低廉、安定輸送が評価されているものといえよう。
 モーダルシフトのパターンは、アンケート調査結果(表4−1−1〜4−1−7)に示したとおり、内航輸送に関しては「トラック→中長距離フェリー」(3件)、「トラック→内航RORO船」(5件)の2つが代表的である。特に、多頻度、小口化の輸送需要の増大に対して、スピードや運航回数の多さが荷主に高く評価されている。
 これらの特徴をみると、モーダルシフトの条件としては次の事項が指摘できる。

? 輸送量が多いこと

? 輸送先が大消費地であること

? 港湾から近距離であること

? 相手先施設が物流センターや配送センターであること

? 運賃が安いこと

? スピードは要求しないが到着日時が正確であること

 平成8年3月規制緩和推進計画の改訂の閣議決定により、コンテナ船やRORO船といったモーダルシフト船については、平成10年度末までに船腹調整事業の対象外とすることが決まっており、フェリーに近いサービスが提供される可能性がある。
 内航海運、特にコンテナ船やRORO船がモーダルシフトの受け皿として活用されるためには、トレーラーやトラックを利用した雑貨の無人航送が主流である長距離フェリーとの輸送条件をできるだけ、対等にして欲しいという要望が強い。その理由は、コンテナ船やRORO船等のモーダルシフト船では早期荷役ができないのに対してフェリーは可能であることや運賃・料金についてもその適用が異なる事情があること等である。
 今回の調査では、荷主の運送業者への二一ズでは雑貨輸送に適した近代化船特にコンテナ船やRORO船への要望が強く、運送業者の貸渡業者への用船二一ズでもコンテナ船やRORO船の建造の要望がかなりあることから、モーダルシフトを推進するためには可能な限り輸送条件を対

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION