?法律上の船腹調整制度は、需給ギャップが生じやすい内航海運業市場における船腹過剰時のセーフガード(緊急避難措置)としての機能が期待されている。
?現在の船腹調整事業は、船腹需給の適正化、内航海運業業者の経営安定、船腹の近代化等を推進する上で効果があったと評価できる。また、経営合理化、運賃水準等の面における弊害は、同事業の弾力的運用等により、比較的少なかった。
一方、次の弊害が指摘されており、現在の船腹調整事業の下ではこれらの課題に対する的確な対応が期待できなくなる恐れがある。
・長期にわたる船腹調整事業の実施が内航海運業者による同事業への過度な依存体質を生み、構造改善が進まない要因の一つになっていること
・意欲的な者の事業規模拡大や新規参人が制限され、内航海運業界の活性化等の支障になっていること
・一定の船舶に係る寄港地の制限、積荷の制限等輸送効率化の支障になっているものがあること
?船腹調整制度見直しの考え方
個別法に基づく独占禁止法適用除外カルテル等制度の見直しに係る閣議決定を踏まえ、船腹調整制度を以下の通り見直すこととする。
(a)現在の船腹調整制度事業は、次の事項に配慮しつつ見直す
・船腹需給の適正化
・引当資格に係る担保評価の下落等内航海運業の事業環境の変化に係る激変緩和
・中小企業者による円滑な構造改善の推進等
・輸送効率化及ぴモーダルシフト対策の推進
(b)法律上の船腹調整制度は維持存続し、船腹過剰時のセーブガードとして活用する。
?現在の船腹調整事業の見直し
(a)当面措置すべき事項
・モーダルシフト対象船種の寄港地に関する制限及びフライアッシュ輸送等にセメント専用船を使用する場合の制限は、直ちに緩和する。