日本財団 図書館


方策10 トランシップ促進施策の実施  

 

1)背景とねらい

 関門港は京浜、阪神、中京と比較して国内背後圏の規模が小さく、背後圏を海外に求める必要がある。このため、関門港の発展のためには、トランシップの促進が重要な意味を持ち、そのターゲットとして、地理的優位性と今後の経済成長による需要増への期待から中国中北部を中心とした地域が想定される。韓国、中国の港湾整備が進むなか、関門港が環黄海圏におけるトランシップ拠点となるためには、利便性やコスト等の面で港湾競争力を高める必要がある。
 また、国内においては関門港が内航フィーダーの拠点となるために、内航フィーダー輸送の利便性を高めて、中国、四国、日本海沿岸などの地域から需要を掘り起こしていく必要がある。
 なお、アジア主要港湾においては、各船社毎に積み換え(トランシップ)拠点となる港湾を設定し、航路展開と貨物の集約化を行っていることから、関門港を積み替え拠点とする船社の誘致が積み替え機能の充実のために求められる。  

2)事例研究からの示唆  

 ・シンガポール港では、トランシップ貨物に対し、保管料金が7日間無料(トランシップ貨物でない場合実入りで3日間、空で2日間無料)、荷役料金の割引(19〜24%)等の優遇措置がある。  

 ・神戸市では、内航フィーダーの拠点港としての機能を重視しており、唯一内航フィーダー専用バースを備えている。また、神戸市では一15mバースは主に欧米基幹航路向け、既存バースはアジア域内向けに活用する意向をもっている。  

 ・釜山港で取り扱っているトランシップ貨物については、神戸港の震災を契機として、中国からの積み替え輸送が急増しており、神戸の積み替え分が釜山港に移ってきている。今後も、中国の需要獲得を目指す意向である。  

 ・高雄港では、メガキャリア数社(APL、シーランドなど)がトランシップ拠点と位置づけ、フィーダー輸送と幹線輸送との積み替えを集約化している。  

 ・高雄港では、アジア域内航路を展開する船社(ワンハイ)が専用バースを借り受け、輸送拠点としている。  

 ・香港やシンガポールでは、取扱量の多い船社ほどバース使用の優先権が高まるようにし、利用促進を図っている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION