方策3 夕一ミナルの自動化・省力化の推進
1)背景とねらい
港湾運送事業における費用構成の約4割を人件費が占めていることから、港湾運送コストの抜本的な低減を図るためには、コンテナターミナルの自動化・省力化が有効であると考えられる。また、関門港は平地が少なく、現状ではターミナル用地が狭隘であり、コンテナの蔵置スペースが不足しているため、土地の高度利用も併せて検討していく必要がある。
そこで、今後予定される新たなターミナル設置を契機として、自動化・省力化されたターミナルシステムを導入し、港湾運送コストの低減と土地の高度利用を図る。
2)事例研究からの示唆
・ロッテルダム港デルタ/シーランドターミナルでは、AGV(自動制御車両)とASC(自動スタッキングクレーン)の導入による自動化で、作業員数が約4分の1になったとされている。
・ターミナルの土地利用効率を高めるため、大型トランスファークレーンの導入により、実入りコンテナを香港では6段積み、シンガポールでは7段積みして蔵置している。
・香港の空コンテナ置き場では、建設用タワークレーンを用いてコンテナを10段積みしている例もある。
・わが国国内でも、主要港湾の夕一ミナル荷役方式はトランスファークレーン方式が主流となりつつある。
1993年に供用されたロッテルダム港デルタ/シーランドターミナルでは、以下のように自動化・省力化が図られており、従来型では600人を要するターミナルが160人で運営されている。ただし、ターミナル用地は60万?と広大である。
1.岸壁での積み卸し :有人のガントリークレーン8基
2.岸壁〜スタッキングヤード間の搬送:無人のAGV(自動制御車両)48台
3.スタッキングヤードでの積み卸し :無人のASC(自動スタッキングクレーン)24基
4.スタッキングヤード〜コンテナヤード間の搬送:有人のストラドルキャリア5台
シンガポールでは、天井クレーン(OHBC)とAGVを組み合わせた自動化ターミナルが、建設中のバシール・パンジャンに導入される予定であり、この場合には、コンテナの多段積みが可能となるため、土地利用効率は改善する。
わが国でも、半自動化されたガントリークレーンやトランスファークレーンが導入されているが、安全上の問題や雇用問題が作業員数の削減の課題とされている。川崎港東扇島コンテナターミナルは将来の自動化に対応できるように整備されている。