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<視点2:周辺地域の物流需要や競合港湾の存在など関門港の外部環境>  

○三大湾と比較して小さい背後圏需要規模と中継輸送需要が期待される中国北部  

 関門港を含む北部九州は、中枢国際港湾に位置づけられているものの、三大湾が三大都市圏を背後に持つのに対して、九州・山口地域を背後圏とするため、三大湾と同等の航路網を整備できるだけの輸送需要を有していない。
 一方、関門港に近接する中国北部(環黄海)地域は、今後の経済発展による輸送需要の増大が期待されるとともに、基幹航路の寄港する港湾の空白地帯となっていることから、その中継輸送需要を関門港に取り込むことが期待される地域である。

 

表5-3 関門港及び三大湾のコンテナ取扱量と背後圏規模

 

港湾別 コンテナ取扱量 背後圏 コンテナ生産消費量 人口
(トン/月) シェア(%) (トン/月) シェア(%) (千人) シェア(%)
関門港 375,698 4.0 九州山口 815,055 8.7 14,979 11.9
東京湾 3,596,840 38.2 関 東 3,026,846 32.2 39,518 31.5
伊勢湾 1,556,099 16.5 中 部 2,250,390 23.9 17,623 14.0
大阪湾 3,207,828 34.0 近 畿 2,161,200 23.0 20,627 16.4
その他 673,867 7.2 その他 1,156,840 12.3 32,821 26.1
合 計 9,410,331 100.0 合 計 9,410,331 100.0 125,569 100.0

   出所)「平成5年全国輸出入コンテナ貨物流動調査報告書」等より三和総合研究所作成

 

 ○近接する競合港湾の存在  

 香港やシンガポールは周辺に基幹航路の寄港する港湾が少ないため、中国南部あるいは東南アジアの広域から多くの輸送需要を吸収しているが、関門港は釜山港や神戸港に近接するため、中国北部など九州・山口地域以外からのトランシップ貨物を集めるためには、大幅なコストの低減など港湾の魅力づけが必要である。
 また、東南アジアでもタイやマレーシアなどで基幹航路寄港が実現しているように、長期的には、中国北部にも基幹航路の直接寄港が増加する可能性も踏まえる必要がある。

 

 

 

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