最後に、行政とボランティアとの関係について若干のコメントをしておきたい。国と時代とを問わず、行政とボランティアとの間には明らかなイメージの落差が存在する。筆者の経験から一例を示せば、行政機関にはファックス・コピーマシン・文具・ファイルが完備し、会議などには関係資料が整えられて全員に配布され、トップの重々しい形式的な挨拶で始まるが、ボランティア組織に顔を出すと、オフィスの備品はないかあってもひどくお粗末で、隣のコンビニまでコピーに行くことが常態であり、広告の裏紙に重要なメモが書かれてあったり、電話番号などワイシャツのクリーニング用の厚紙に記載されてあり、手書きの分厚いアンケート結果など回し読みにしていて、もうがやがや話がかなり進んだ頃、「それじゃ、改まるのも何ですが、今月の例会を始めましょうか」とかいって、「そうそう、これは○○さんからの差し入れでーす」といった妙な調子で進んでいく。最初はこの秩序感のなさに辟易しても、次第にこのケチ根性と実質重視の姿勢が、ボランタリズムの崇高な精神と美学そのものであることが了解されるのである。