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さて、短期間ではあったが、今回の調査はボランティア大国オーストラリアと官僚制国家日本とのコントラストの鮮やかさを筆者に強く印象づけた。今これをイメージとして、エピソードを交えながら語ることは困難ではない。しかし2つの政治社会の構成原理を、地形や風土や国民性に還元することなく、理論的タームでプラグマティックな観点から整理し、対比の基軸として提示するにはより立ち入った調査と分析、より深い観察と洞察が必要であろう。「行政とボランティア」「行政と市民セクター」という対立軸の本質の一部も、その中から徐々に抽出されるであろう。この大きな課題には、機会を改めて取り組むことにしたい。

 

 

1) 川崎信文「比較行政学(先進国)」西尾勝・村松岐夫編『講座行政学』1巻、有斐閣、1994,110−112頁参照、
2) サラモン、アンハイアー『台頭する非営利セクター』(仮訳)笹川平和財団、1995.
3) Voluntary Work,Australia,Australian Bureau of Statistics,1995,p.1
4) Volunteering in Australia,ACOSS(Australian Council of Social Science) Paper No.74,1996,p.5
5) 以下、本節のデータはいずれも、前掲Voluntary Work,Australiaによる。
6) 以下、BNSに関するデータは、Blue Nursing Sevice,Brisbane Central Centre,Annual Report 1995-96による。
7) 以下、QLD州の事例に関しては、Department lf Emergency Services and Office Of Sport and RecreationmAnnual Report 1995/96.Queensland Govermentおよび同省発行の各種パンフレットによる。
8) 以下、ブリスベン市緊急対応に関するデータは、同市のDisaster Management PkabmBrisbane City Counter Disaster Committee,1995/96.および同市Emergency Management and Operation Sectionの資料によった。
9) The Volunteer Centre of the new South Wales,1996 Annual Report,p.4(データはIndustry Commisionの調査によるという)。
10) Ibid.
11) The Volunteer Centre of the New South Wales,Survival Kit for mangers of Vo-

 

 

 

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