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協議会(ACFV)」と「国際ボランティア活動協会(IAVE)」の会長を兼任しているように、オーストラリアにおけるボランティア関係団体のセンター的位置を占めている。そうして同センターの活動の中心の一つが「ボランティア・マネジメント」に関する啓蒙・教育・研修活動なのである。

「ボランティア・マネジメント」の内容を簡便に知るためには、「ボランティア・マネージャーのためのサバイバル・キット」11)という研修冊子が便利であろう。これは2日もしくは1日の研修に用いられるもので、「サバイバル」というタイトルの字句からはつい災害救助か何かを連想しがちになるが、そうではなく、只働きのボランティアたちをマネージする仕事には紛争、いざこざ、事故、予定外の出来事など、さまざまな“災難”が不可避であるため、これにどのような準備と精神の構えで臨むべきかが記されている。冒頭に記されているように、キットの中身は各種の個別研修プログラムからのエッセンス抜粋的性格のもので、それだけではやや抽象的であり、実際の研修で具体的な例を織りまぜて説明されない限り、すぐ実践に役立っものとはいえない。

内容はまず、ボランティアリングの定義(自由意志に基づくこと、無償であること、非営利団体での活動であること、コミュニティヘの奉仕にかかわること)と、「有償の活動(P・idWork)」との区別(ボランティア個人の満足が得られること、フレクシブルである利点があること、週16時間以内であること、他のスタッフヘの責任を伴わないこと、など)が示される。また、先にも触れたが、ボランティアとボランタリー組織双方の権利と責任(義務)が明示される。すなわち、ボランティアたちの権利としては、「協働者としての扱い」「適切な仕事の割り当て」「組織目的と基本ルールの周知」「仕事に関する適切な研修・教育の享受」「的確な指示」「適切な場所と道具」「安全の保障」などが挙げられており、他方ボランタリー組織の側の権利としては、「十分な努力・サービスの受け取り」「良心的な仕事ぶり、時間遵守、信頼性を期待すること」「組織の仕事に対する熱意と信念を期待すること」「ボランティアの最適配置に関しての意思決定」「芳しくない仕事ぶりへの意見表明」「組織への忠誠の期待と建設的批判」「明瞭でオープンなコミュニケーション」「不適当なボランティアの解任」などが挙がっている。

続いて、いかにボランティアたちを集めるか、採用するかに関しての技法・心得等が紹介されている。そのためにまず、ボランティアリングを求めてやってくる人々の動機を理解することが必要であり、そのことは彼らを長期間うまく活用するコツにも通じてくる。動機としては、「新しい出会いを求めて」「コミュニティをよくするため」「仕事の経験

 

 

 

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