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イアを管轄している、ちなみに、同省消防局の系列下にある現地消防隊の人数は4万6000人となっている。

自治体も含めたSESの活動実績は、1995−96年度で次のごとくであった。ボランティアの総研修量は25万人/時間、実際の救助活動回数1127回の中で8300人のボランティアが計6万人/時間働いている。また研修プログラムを完了したボランティアは729人、研修を行った地域ユニット222であった。

CDSが対応する災害の主たるものは大雨による洪水、サイクロン・雷・竜巻・による破壊、海難事故などであり、その被害の規模きわめて大きい。例えば1991年1月にシドニー北部をおそった暴風雨による被害総額は5億ドルを超えている。CDSの任務は、アメリカの連邦緊急管理庁(FEMA)とも似ているが、計画立案、政策開発、啓蒙活動、現場での対応に対する調整、およびコミュニティレベルでの自立支援などとなっており、直接災害救助に当たるというよりも、そのための側面支援とコーディネーションが中心である。したがって、同局の「顧客」(clients)としてボランティア、自治体、市民海難救助隊、保険会社、州際災害対策機関などがあがっている。

予算面をみると、1995−96年度の総額が1518万ドルであり、その内訳は給与等21%、事業費44%、補助金30%、設備・備品費3%となっている。このうち補助金の多くは自治体に支給される。また設備・備品費の一部は、例えば海難救助用のボートをボランティア団体に提供することにも使われるという。海難救助には全国コンテストもあってほとんどスポーツともいえ、若者の人気が高いので備品の提供により、きわめて安価に若い労働力を活用することを可能にしている。

しかし、非日常の危機管理型対応に関しては、権限は現場に集中することになる。そこで続いて、自治体における体制と対応をみることにしたい。

 

(2) ブリスベン市の緊急対応8)

クイーンズランド州の「災害対策組織法」によれば、上述のSESとは州政府→地区(警察のDistrict)→自治体(City Council)という系列を指しており、ブリスベン市はSESの1ユニットと位置づけられる。市の機構としては「緊急管理実行課」があり、都心部からやや離れた場所に独立した建物をもっているが、専任スタッフは課長(ExecutiveOffi−cer)と秘書が1人いるだけで、残りの部屋は研修と実際のオペレーションに使われる。課長は常時500〜600人のボランティアを指揮しうる立場にあり、平生はボランティアのリク

 

 

 

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