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ス」(Blue Nursing Service,BNSがある6)。1953年にブリスベンのメソジスト・ミッションによって設立され、1977年教派の合同によりオーストラリア合同教会クイーンズランド教会会議の傘下にはいった。理事会の下に、募金・事務部門、施設運営部門、コミュニティ・ケア部門で構成され、20あまりの施設・事務所全体で580人の有給職員が勤務している。人件費だけで1486万ドルの支出があり、収入の大部分は州政府からの補助金(1047万ドル)、施設運営収入(300万ドル)および募金等によって賄っている。

BNSのボランティア活動は、募金運動(Fundraising,Annual Doorknock)およびコミュニティ・ケア・プログラムの中で展開されている。前者はイベント的色彩が濃いが、後者だけで年間3万5000時間(ひと月平均で約3000時間)の活動が行われており、その内訳はデイ・センターなどの施設でのサービス、在宅介護・慰問(Respite)などのコミュニティ・ケアが大半を占める。5名の有給スタッフが100人あまりのボランティアをアレンジしており、1995年のクリスマスでは42人のボランティアが5,10,15年勤続の表彰を受けた。大部分は女性で、BNSに加わる以前から学校・図書館など地域で何らかのボランティアを経験している場合が多いという。また病気などでBNSのサービス受給者となった者が、健康を回復したあとにボランティアを始める“ex−Care”タイプもある。

1996年からボランティア研修制度が改善され、すべてのボランティア・スタッフが統合研修プログラムを受けることができるようになった。コミュニケーション等のスキルの向上が図られる一方、市民相談と同様に、ボランティアとして何をやってはならないか、どこに照会すべきかについても研修を受ける、また、BNSとボランティア双方の「権利」と「責任」についての説明が20数項目のわたって文章化されており、それにはBNSの交渉権・拒絶権や保険加入の責任などが含まれている。

もっとも、ボランティアの仕事の中でとくに重要なものに、遠隔地に住む一人暮らし老人への慰問があり、これには必ずしも特別の技能を要しない。しかしこの孤独な人々にとっては、熱いお茶と会話が生活の中のハイライトにさえなっているのである、なお、ボランティアは無償とはいえ、車のガソリン代等の実費は支払われることになっている。政府の補助金はこうした費目に支出できないため、ボランティア・プログラムにかかる諸費用は募金に頼らざるをえない。政府にボランティア活動への資金援助を求めているところだという。

全体としてブリスベンは、例えばシドニーなどと比較した場合、ボランティア活動の盛んな地域といえるが、福祉関係のボランティアは人材面で慢性的に供給不足である。募集

 

 

 

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