てオーストラリアの男性のボランティア人口が、女性より少ないとはいえ一貫して増加傾向にあり、70歳近くまで15%以上を維持しているというのは驚くべき数字である。この国が、日本に蔓延している社畜・猛烈職員・ワーカホリック・無定量勤務といった風土病に冒されていないことが大きな要因といえようか。
また、男女に共通する傾向として、30代後半に一つのピークがあり、定年後の60代で再び上昇に転じている点も興味深い。人生の前半に経験したボランティアのテイストを、自由時間の増えた老後に再び味わい直しているとも解釈できる。そうして、もともと働く女性が多く、離婚率もきわめて高いことが、男女間で同様の年齢別曲線を示している背景として指摘できよう。
3番目に、分野別および年齢別のボランティア人口の違いが明らかにされている。
表3 年齢及び分野別にみるボランティアの割合
まず、学生時代にスポーツ・リクリエーション・趣味等の分野でボランティア活動にかかわり始め、40歳前後まで上昇カーブを描き、以後は下降線をたどるという傾向が示されている。20歳以前の比率は低いが、教育・研修等の分野でも同様の傾向がみられる。これと対照的なのが福祉・コミュニティ分野でのボランティア活動で、50代までは緩い上昇カープを描き、60歳前後でピークとなっている。年齢による違いはさほどないが、宗教関係の
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