全体で最小の割合を示しているニュー・サウスウェールズ州の州都シドニー市は、オーストラリア最大の都市(大都市圏)を構成し、行政区画としては中心商業地区のみからなっており、都市型社会の性格を最も鮮明に示している。シドニーの事例については続いて論ずるが、「都市」が地域の物的条件というよりも一つの都市型生活様式を指すと考えるならば、今後オーストラリアのボランティア活動はむしろシドニーの示す低水準に移行することも予想され、そうなると逆説的にボランタリズム(の重要性)が社会によって自覚化され、システムの構築が試みられる可能性がある。その意味で、今後同様の調査がくり返され、その編年的傾向を把握することが必要であろう。