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州の違いを超えて一般的傾向としていえることは、州都(都市部)よりも州全体(農村部)の方がボランティア活動に従事する割合が高いことで、ビクトリア・南オーストラリアの両州では、2倍近い差となっている。一方、クイーンズランド州で差が小さいのは、州都のブリスベーン市が郊外の農村地区も含んだ広大な面積を有しているためと考えられる。

全体で最小の割合を示しているニュー・サウスウェールズ州の州都シドニー市は、オーストラリア最大の都市(大都市圏)を構成し、行政区画としては中心商業地区のみからなっており、都市型社会の性格を最も鮮明に示している。シドニーの事例については続いて論ずるが、「都市」が地域の物的条件というよりも一つの都市型生活様式を指すと考えるならば、今後オーストラリアのボランティア活動はむしろシドニーの示す低水準に移行することも予想され、そうなると逆説的にボランタリズム(の重要性)が社会によって自覚化され、システムの構築が試みられる可能性がある。その意味で、今後同様の調査がくり返され、その編年的傾向を把握することが必要であろう。

次に、性別および年齢別のボランティア人口の差異が示されている。

 

表2 年齢別ボランティア人口

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すべての年齢層において、女性のボランティア人口が男性を上回っている。とくに30代から40代にかけて女性の優位が目立ち、その理由として報告書は、男性の専任職へのコミットの大きさを指摘している。しかしながら日本と比較した場合、20代から40歳前後にかけ

 

 

 

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