実際、オーストラリアにおいてボランティア活動とは、日常そのものだという印象が強い。旅行者として少し気をつけてみるだけでも、公園の花の管理(バラ園友の会会員)、市庁舎内ギャラリーの受付、ナショナル・トラスト会館の案内、街やミュージアムのツアー・ガイドなど、さまざまなボランティアに接することができる。また州政府や市役所での面接調査の際にも、「ところで職員の中で何かボランティアをやっている人はいないか」と質問すれば、必ずその部署で1人や2人はそういう職員を紹介してくれる。多くの場合、「そんなことにどうして興味もつのか」といった不思議そうな顔で応じるところなど、ボランティアがこの国では何らの事件でも話題でも課題でもなく、日常の中の単なるひと駒に過ぎないことを物語っている。