オーストラリアは、768万平方キロという日本の20倍以上の国土面積に、1650万の人口しか居住しておらず、人口密度は日本のわずか150分の1という国である。鉄鋼・石油・天然ガス・ウランなどの天然資源が豊富に産出される一方、小麦等の農業、羊毛を中心とする牧畜業も盛んで世界の主要輸出国となっており、経済的にはきわめて恵まれた国といえる。社会的に見ても、原住民(アボリジニ)の数は混血を含めても20万人弱であり、人口の大多数はイギリス系移民の子孫で占められ、しかも大陸全土にわたって方言のほとんどない均質性を保っている。また、国民全体の8割近くがキリスト教徒であり、これは信仰をもつと表明する人口の実に99%を占める、同じくヨーロッパからの移民によって形成されたアメリカと比べても、国民の人種・言語・宗教面における同質性という点では、むしろ対照的な関係にある。