業、中小企業、農業、金融セクター、建設業 etc.)なのか、消費者なのか、多国籍企業なのか、あるいは政府なのか。そして、それらの主体が形づくる意思決定メカニズムの構造が問われる。
(3)外交と内政の相互規定関係
いまひとつ、きわめて重要な事は、外交は内政と相互規定関係をつうじて深く結びついているという事である。その相互規定関係を媒介するのが日本の経済社会の構造である。とりわけ最終的には雇用や所得分配にどのような影響を与えるかがその相互規定関係を左右する。グローバリズムとリージョナリズムを考えるには、貿易のみならず通貨や投資の側面も考慮する必要がある。貿易についてはグローバルな多角的交渉あるいは域内自由化などがエ業、農業、サービス業部門などにどのように異なった影響を及ぼすかによって、外交政策もまた異なった制約を受けるだろう。同様に、通貨の面では金融の自由化やビッグ・バンのような全面的な規制撤廃が金融産業をはじめ国内産業にどのようなインパクトを及ぼすか。また投資のルールの国際的なハーモナイゼーションの影響もある。こうした国内の経済構造への影響を媒介にして、内政としての国内の産業調整などの問題と、外政としてたとえば市場開放をとのように進めるかといった問題とは密接な相互規定関係にある。
2.グローバリズムとリージョナリズム
(1)グローバリゼーションとグローバリスム
19世紀から20世紀前半にかけて、世界連邦構想や汎ヨーロツパ主義、あるいはコミンテルンやインターによる国際共産主義などが宣伝された事があるが、第2次大戦後そしてとりわけ1980年代末の冷戦終焉以降は、そうした政治思想としての世界統合主義は影をひそめたといえる。一方、技術とりわけ情報技術のめざましい発展と共産圏の解体による世界規模での市場の事実上の統合化が急速に進展しつつあり、こうした動きをグローバリゼーションと