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IV:グローバリズムかリージョナリズムか

 グローバリズムかリージョナリズムか。この日本にとっての選択を経済の分野に絞って議論したい。経済に焦点をあてたときにのみ、唆昧な議論が整理され、問題の所在が鮮明に浮かび上がるからだ。

 1.リージョナリズムの内容の多様性と基本的問題点

 (1)地域的協定の多さと地理的広がり

 世界の経済地図をみると、日本、中国、韓国、台湾、香港を除くと、殆ど全ての地域が何らかの経済的地域協定を結んでいる。1958年にEECとして出発した則は、1960年に発足したEFTA(欧州自由貿易連合)を統合して1994年にEEA(欧州経済領域)を形成し、欧州諸国を殆ど包括した上、さらには旧社会主義の東欧諸国をも包含しつつある。アメリカ大陸では、1989年に発足した米加の自由貿易協定が1994年にメキシコをとり入れてNAFTAが出発した。既に、米国はEnterprize for Americans Initiative(1990年、ブッシュ大統領)の下に、米国をハブ(Hub)とし南米諸国をスポークス(Spokes)とした地域協定を拡大しようと考えていた。このNAFTAがアジアにまで延長して、韓国やマレーシアなどを巻き込むと、日本はいよいよ孤立する、と心配する人も多い。先進国を直接には含まない途上国同志の地域協定となると、枚挙にいとまがない。南米、アフリカ、オセアニア、インド亜大陸などで多くみられる。最近の代表例として、MERCOSURやASEANのAFTAがある。

 (2)リージョナリスムの性格と問題点

 では、こうしたリージョナリズムの経済上の基本的性格は何なのか。それは、非加盟国(第三国)に対する差別性(discriminatory)である。その差別性はどこからくるかといえば、地域協定に参加している加盟国の仲間同志の貿易では関税をゼロにする、つ

 

 

 

  

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