万国郵便連合以来のさまざまな国際組織は、まさにグローバリズムの制度として形成されてきたということができる。とりわけ経済面でのWT0,IMF、世銀、などがあるし、政治面では、国際連合が存在する。状況としての経済・情報の一体化に対応する形で、世界経済のグローバルな制度の整備はかなりすすむようになってきた。これに比べると、国連の重要性が冷戦後広範に認識されるようになったが、さまざまな問題が存在することは、いまや常識的であろう。
いずれにしても、グローバリズムの思想、状況、制度ともに、単一の言葉でもって語り尽くすことはできない。現在の超勢は、その中で、経済・情報面における地球一体化の状況を背景に、経済を中心とした制度化の動きが進んでいる、といってよいだろう。しかしながら、このような状態をどのように捉えるか、理想的にはどのようにしたらよいかをめぐる思想としてのグローバリズムは依然としてそれほと明確化しているわけではないといってよいだろう。
2.グローバリズムの光
しかし、現在進展しつつある状況としてのグローバリズムには、光の部分も影の部分もある。思想としてのグローバリズムにしても、制度としてのグローバリズムにしても、このような「光」と「影」の両者に対する十分な配慮を行うことなくして健全な発展をとげることはできないであろう。とはいえ、状況としてのグローバリズムの「光」と「影」を十分に論じ尽くすことは容易ではない。以下にあげるものは、あくまでも例示的なものにとどまる。
まずグロ一バリズムの光の第1としては、機会の増大ということがあげられるであろう。政治的自由が拡大し、経済的自由も拡大する。そして、機会の増大を背景に、第2の利点として、交流の利益ということがあげられるであろう。いうまでもなく、自由貿易論は、この考え方に立脚している。さらに交流の増大は、モンテスキューやカントに従えば、平和すらもたらすかもしれなない。さらに機会の増大と交流の利益の中からは、人々の間に連帯感情が生まれる可能性がある。そこからは第3の利点として、人類の共