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 最後に、東アジアではマネタリー・コーポレーション、フィナンシャル・コーポレーションが相当進んでいる。金融面でアジアはできるところから協力していけばいい。参加できる国の間で、できる協力をしていけばいいと思われる。東京、シンガポール、香港、シドニーの通貨当局間の協力についていえば、この5年間定期的に会合を持って情報交換をし、意見交換を進めている。日銀も最近は9カ国で中央銀行総裁会議を開催した。BISのアジア版設立の動きもあるようである。1997年3月4日、東京で第1回の「6市場会合」が開催された。上記の4市場の会合に米国及び中国が加わった。「6市場会合」参加の国・地域を合計するとGDPにおいて世界の半分、為替市場の取引において40%、外貨準備、貿易額において世界全体の3分の1を占めている。参加者は、大蔵省・中央銀行の次官級であり、議題は参加国・地域における経済の動向、金融・資本・為替市場の動向、金融機関の監督などである。このように、金融の面でもアジア諸国間の協力はかなり進んできていると言える。

4.リージョナリズムの限界

政治統合を目指しながら、経済通貨統合へ向かって現実的なアプローチをとっているEUに焦点をあててみた。

 その経済統合の基礎、過程ともいえるEUの関税同盟とNAFTA,MERCOSURを対比させ、リージョナリズムの可能性と限界を探ってみた。

 EUと比較するとき、NAFTA,MERCOSUR,APECの今後の展開と統合を強めていくための条件が何かが見えてくる。

グローバリズムを堅持している日本の役割は何か、日本のリーダーシップが、アジアにおいていかに発揮されるか、注目されている。いずれにせよ、1つの世界を目指すという理念をかかげ、平和を希求する強い政治的意思がなければ、これらの地域協定は世界政治、世界経済に貢献することはできないと思われる。

 

 

 

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