メキシコ危機が起きれぱ、自由貿易地域を結んだアメリカは全力を挙げてこれを救わざるを得ない。500億ドルを越える支援を行わざるを得なくなった。
NAFTAの拡大(Widening)については、メキシコ危機の影響で、チリの参加は別として、かなり遅れるのではないかとみられる。
(2)MERCOSUR
南米では、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの4カ国が共同市場による域内貿易の拡大を目指している。
このMERCOSURは、NAFTAと異なり、開発途上国、同質性のある4カ国の関税同盟である。EUと比較すれば、政治統合は視界に入っておらす、経済統合も初期の段階にある。
MERCOSURは比較的順調に推移しているが、メキシコと4カ国の違いは対米依存度にある。これら4カ国捌衣然としてヨーロッパとの貿易に力を入れていることもあるが、貿易をみても、投資をみても対米依存度が低い。
MERCOSURのNAFTAとの違いの1つは、対外共通関税を有する共同市場であることである。また関税率が最高20%で、品目別に比較的低い水準に設定されている。
MERCOSURは、かつての輸入代替を目指した統合ではなく、輸出産業の発展をも視界に入れた新しいコンセプトに基づく統合である。
なお原産地規則は、ローカルコンテント60%以上が原則であるが、資本財については80%以上となっている。
3.アジア
アジアで地域協定ができる可能性について考えるとき、2つの特徴を指摘できる。1つは多様性。ヨーロッパは、言語、宗教、文化の違いを乗りこえる統合へのコンセンサスをもっている。これに対して、アジアは、グローバリゼーションのもとで少しずつ同質性が進んでいる。同質性は経済から始まり、文化とか社会まで少しずつ変わりつつある。しかし依然として多様性は大きい。