日本財団 図書館


引にも多大な影響が予想されたことから、内外に大きな波紋を投げかける結果となった。

国内製造業の抱える様々な問題の解決に対応を迫られていた我が国においても、CALSは調査や検討から、実証の段階へと移り、『CALS推進協議会(CIF)』や『CALS研究組合(NCALS)』が発足した。これに併せて、多くの企業においても取り組みが開始された。この様に製造業の高度情報化はパソコンやインターネットをべ一スに、CALSに結びついた動きとなって行った。

 

1.1.2生産・調達・運用支援統合情報システム

1985年、米国国防省が軍の後方支援の情報ネットワークによる、コスト削減、時間短縮を目的とした“Computer Aided Logistic Support”を端に、CALSが始まった1988年には兵器調達プロセスを強調して、”C?puter−aided Acquisition and Logistic Support”となった。1993年には米商務省が軍のみでなく政府調達全般への有用性に着目して、“Continuous Acquisition and Life cycle Support”を提唱した。CALSが注目される理由は、米国の民間企業の再建のシナリオに組み込まれて、成果を出しつつあることである。特に航空機産業においては開発期間の短縮などで著しい成果を出している例もある。(参照文献[2])米国における企業競争力復活の起爆剤としてのCALSは、今や一国にとどまらず、韓国、シンガポール、台湾などASEAN諸国にも浸透し始めており、特にCALS PASIFIC’96の開催を期に、韓国においては、国の重要政策の一つに位置づけられ、造船業においても具体的な取組が開始されている。一方我が国内ではバブル崩壊を期に、企業は死活をかけたリストラに着手した。これまでの大量生産に向けた仕組みはもはや活力を失い、量産による供給から、多様な市場の要求を満たすことが求められる時代となりつっあることは前述の通りであるが、変種変量生産方式がこの様な要求に対応できる手法として注目されている。CALSのコンセプトは市場の多様な要求(情報)をいち早く取り込み、製品開発から生産に移行する過程も含めて、最も効率よく生産を行うための情報交換できる仕組みをつくることにある。従って、CALSは変種変量生産方式では不可欠な要素となる。CALSは企業の規模の大小を問わず取組可能なコンセプトである。業務改革の観点から、情報化の推進にあたって、企業規模、情報インフラ整備の進み具合は問題とならず、むしろ既存のシステムや仕組みのしがらみにとらわれる必要のない小規模、小企業ほど取り組みやすいという面もある。特に舶用工業の状況を考えるとき、多くの企業で巨大な組織や情報システム(アンケート調査報告参照)を持たないことが、情報化への足かせにならず、情報先進企業へのキャッチアップヘの絶好のチャンスとなる。

このCALS(情報化)の主なねらいは次の3点である。

?情報の電子化:開発から生産、保守に関わる全てのデータ(製品ライフサイクルのデータ)の電子化(デジタル化)によって、情報の加工、伝達、保守、履歴管理を容易にし、ミス・ロスの低減をはかり、ビジネスのスピードをあげる、、

?オープン化:情報システムの構築によって、全ての組織がネットワークにつながり、

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION