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等が増加し、それらに伴う配管、配線等が複雑化してきているので、当然これらの高度な専門的知識のある人が必要になってきている。
この例では設計部門に見積係が配属されているが、小企業では見積係を設計部門におくことがよいかどうかについては問題がある。船価等の見積は営業・材料係等が見積る場合もある。いずれにしても図面や仕様がはっきりわかる設計部門が見積もるのが立前であるが、工数、材料等に関してはそれぞれ工務関係の分担者の見積を尊重することになる。
(2) 船殼関係
造船部門に属する船殼課、艤装課は、実際の工事に従事する部門であるから、人員を人事的にも、技術的にも十分教導できる推進力のある人を配置しなければならない。
特に、船殼課は造船工場の一番重要な作業を受け持つことになるから、設計図の判読、工作図の準備、部品の手当、準備、工程計画、材料の手配、作業日報の作製、チェックシート等による品質管理もできる管理方式をとらなければならない。
(3) 艤装関係
艤装関係の仕事は、その受注した船の種類、特に用途によって非常に異なるので、あらゆる方面の専門的技術者を常時もっていることは不可能であるから、その中の最も多く起こりうる工事に対して重点をおいて、その他のものは、それぞれ外注下請工事にする方がよい。
主機、補機の搭載工事、配電、配管通風工事はもちろん、甲板艤装、船内艤装工事(居住、船倉タンク、倉庫等)は船としての基本的な工事であるから、これに対する適当数の従業員を配置しなければならない。しかし、客船の室内装飾的な工事、漁船の冷蔵庫並びに冷却機械や船室の冷暖房工事、作業船等の起重機その他の運搬設備工事、高圧の油圧装置、レーダー・無線・音測等その他の高度な電子装置の装備、工事等は専門家にまかせた方がよい。
家具数、調度品等で、市販の大量生産品を利用できる場合は、極力これを利用すべきであるが、できない場合でも、陸上で予め準備のできる、いわゆる“プレハブ”方式を採用して船内での工作作業をやらないような生産方式をとった方がよい。ただ、社外請負に依存する場合には各工事人の仕事の受注範囲を十分協定しておかないと“盲点”を生ずることになり、また、工程計画を十分打合わせておかないと、船全体の工程計画を乱し、これがもとになって受注金額の問題にまで影響してくる場合が多い。この問題は、単に艤装工事だけに起こることではなく、船殻工事等でも、ブロック等の分割工事を分担請負にだす場合には同じように起こり得る事柄ではあるが、艤装の場合は種類が多く、仕事が専門的に分科しているだけに最も留意しなければならない。
(4) 修繕関係
修繕部門が造船工場の大部分を占める場合には修繕工事に都合のよいように組織を作るの

 

 

 

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